「経済の自由」と名付けながら、国家の介入を残すのか?

Jargal Defacto
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モンゴル国政府が2025年12月16日に「経済的自由に関する法律」案を審議し、国会へ提出することを決定したことは、公共の強い関心を集めている。経済的自由という概念そのものは国の発展方向性を規定するほどの基本問題であるため、この法律を制定する前に国民が理解し、議論し、意見を表明することが重要である。

では、経済的自由とは一体何を意味するのか。簡単に言えば、経済的自由とは、国民や企業が自らの財産・労働・資本を活用して、何を生産するか、どのように生産するか、誰に・どの価格で販売するかを、国家の許可を得ることなく自ら決定する権利を指す。利益を得れば自ら受け取り、損失を出せば自ら責任を負うということである。言い換えれば、経済的な意思決定を国家ではなく、市場と個人自身が行う仕組みである。

しかし、経済的自由を「国家がビジネスをうまく規制すること」、「国家が価格を維持すること」、「国家が産業を支援すること」、「国家が市場に介入して均衡させること」と混同することが多い。これらはすべて国家による介入であり、経済的自由はまさにその対極の哲学に基づくものである。自由市場とは、国家が市場のプレイヤーではなく、ルールの執行者・裁判官であるべきだという考え方である。

この観点から見れば、現在審議されている法案には明らかな矛盾が見られる。名称は「経済的自由」であるものの、内容としては「国家がうまく調整すればビジネスは順調に進む」という、柔らかい介入主義的アプローチが優勢である。例えば、法案には国家が教育・医療・インフラ・公共サービス・技術的ソリューションなどの基礎的な市場分野に参与し、資金拠出できると規定されており、これは国家を市場のプレイヤーとして残すことを意味している。これにより国家とビジネスの境界が曖昧になり、汚職や利益相反が体系的に生じるリスクが残り続ける。

もし経済を本当に「完全に自由」にしようとするのであれば、民間が実施できる仕事を国家が行うことを禁じる明確で厳格な条項が不可欠である。「国家の介入を減らす」という一般的な表現は、現実において成果が乏しい。それよりも、「民間が自由市場の原理で実施可能な一切の活動を国家が行うことを禁ずる」と明確に規定すれば、国家介入の実質的な限界が設定される。

また、この法案で最も欠けている重要な点は、価格・為替レート・賃金を市場によって決定する原則がまったく盛り込まれていないことである。価格は市場のシグナルであり、為替レートはリスクと責任の表現である。国家が価格を維持したり、為替レートに介入したりすると、市場は誤ったシグナルを受け取り、品不足、闇市場、汚職が生じる土壌が形成される。したがって、経済的自由に関する法律には「価格・料金・賃金・給与・為替レートは市場の自由な関係によって決定される。国家がこれらに直接的または間接的に介入することを禁ずる」という原則が必ず盛り込まれるべきである。

加えて、国家規制の上限を明確に定めていない点も問題である。「国家安全保障」、「公共の利益」といった広範な概念を用いれば、ほぼあらゆる制限を正当化できてしまい、市場の信頼を損なう。経済的自由を制限するいかなる規制も、必然的で、最小限で、期間が明確で、司法の監督に開かれているべきだという原則が本法案には欠けている。

真の意味で経済的自由を保障するというのであれば、国家がビジネス活動を行うこと自体も禁止する必要がある。国家が営利目的の経済活動を行わず、国有企業・プロジェクト・プログラムを段階的に縮減し、民営化し、市場へ移行させるという基本方針が必要である。これを行わなければ、国家自身が市場の競争者として残り続ける。

このような法律には「国家の経済的基本任務」という特別条項を設け、国家は人命と財産の安全を守ること、環境安全を確保すること、契約履行と財産権は司法を通じて保護すること、公正な競争を維持することのみを任務とする、と明確に示すべきである。それ以外の経済活動に国家が関与すべきではない。これは国際的には「夜警国家(ナイトウォッチマン・ステイト)」と呼ばれている。

近年、モンゴル経済の成長が鈍化し、投資が縮小し、ビジネス環境が不安定になったことは、国家の過度な介入、重複した規制、ライセンス・許認可の負担と直接関係している。このような状況において、経済政策を部分的に調整するのではなく、自由市場の基本原則を法律で保障する必要性が現実的に高まっている。

結論として言えば、経済的自由とは、「国家が調整する」という論理を排し、「国家は保護し、市場が決定する」という原則へ移行することである。「経済的自由に関する法律」がその名称にふさわしいものであろうとするならば、自由市場の根本法でなければならない。

最後に、現実を踏まえれば、モンゴルが教育・医療分野における国家の関与を突然全面的に停止することは不可能である。したがって、これらの分野を国家のみで担うのではなく、民間部門と効果的に組み合わせ、競争と選択肢を増やす方向で段階的に運営していく必要がある。

2025年12月18日■

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