PUTTING A CAP ON INTEREST RATES モンゴル国会は「銀行の貸出金利最高限度を定める法案」を審議している。貸出金利の高さが製品・サービスの価格を上げ、企業を倒産に追い込み、ビジネスへの希望を削いでいる。 社会が直面しているこの問題について、先週モンゴル国営放送でデファクトディベートを行った。法律で貸出金利の最高限度を定めることに賛成派として金融専門家D.アンガル氏、反対派として経済専門家S.ボルド氏が登壇した。彼らが話した調査や説明とデベィート内容を省略して後述する。 法律で貸出金利の最高限度を定めることへの賛成意見 金融機関は経済的に貯蓄がある層の資金を、それを必要とする企業と繋ぎ、仲介する役割がある。モンゴルではこの役割を過去27年間、商業銀行のみが行ってきた。その貸出金利は非常に高い。そのため、この貸出金利が企業にとって公平性があり、事業活動において効率性があるように法律で金利の最高限度を定めるべきだと思う。 モンゴルの銀行、ノンバンク、信用貸付組合、証券取引所に関する法律や規程は、外国の法律規程に倣って作られている。しかし、先進80ヵ国が施行した貸出金利を法律で制限する部分を除いた。その結果、商業銀行はビジネスをサポートするのではなく、金利を彼らの主要な収入源にしてしまった。 政府による金融政策が銀行の圧力要求で行われ、銀行の望むままに行われてきたので証券市場は発展していない。証券取引所、保険分野が発展していないので、あらゆる融資が商業銀行14行のみで行われている。銀行は資産がある人(モンゴル銀行の調査によれば1億トゥグルグ=4万ドル以上の預金がある人は9900人いる)を囲い込むために預金金利を高くして競争している。そのしわ寄せが企業に行き、高い金利で借入をする他に選択肢がない。貸出金利が高いからモンゴルでは産業が成長しない、経済が発展しない。…
ポーランド人は非常に忍耐強く、才能にあふれ、産業と文化において豊かな伝統を有する民族である。今日のポーランドは、ヨーロッパで最も急速に発展している国のひとつである。歴史上の困難や多くの試練を乗り越えたポーランド人は、科学や文化芸術の偉大な成果によって世界的に知られている。ポーランドの最初の首都クラクフをはじめ、ヴロツワフやワルシャワの各都市を訪れ、美術館、歴史的記念地、古い教会や城を巡り、産業部門では石炭、食品、製薬業といった分野を視察した。また、モンゴルとポーランドの両国民が歴史的出来事や多くの事業によって結ばれてきたことを研究し、多くの人々と出会い、その記録を読者の皆さんと共有するものである。 ポーランドの略史 ポーランドの歴史はその国民の忍耐と我慢の真の表れである。966年、ミェシュコ1世が統一ポーランド国家を樹立した。1386年から1572年にかけてのヤギェウォ王朝の時代には、現在のポーランド、リトアニア、チェコ、ハンガリーの領域にまたがり、ヨーロッパで最も強力な国の一つとなった。1569年から1795年にかけて存在したポーランド・リトアニア共和国(コモンウェルス)の時代は、民主主義と文化発展の黄金時代とされている。だが、ロシア、プロイセン、オーストリアの三国により、1772年、1793年、1795年の三度にわたり分割され、ポーランドは123年間独立国家として存在しなかった。1918年にポーランドは独立を回復し、すぐに第二次世界大戦や共産主義思想による抑圧などの歴史的試練に直面し、それを乗り越えてきた。 現在のポーランドは中央ヨーロッパに位置し、ドイツ、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ロシア、そしてバルト海に囲まれている。総面積は313,000平方キロメートルで、ヨーロッパで9番目に大きく、モンゴルの5分の1程度の大きさである。地理的には広大な平原と丘陵が広がり、南部にはカルパチア山脈とズデーテ山脈がある。人口は約3,800万人で、EU内で5位の規模である。首都ワルシャワは人口200万人を擁し、政治・経済・文化の中心である。ほかにも、クラクフ、グダニスク、ヴロツワフ、ポズナンなど、豊かな歴史と文化を継承した近代的で高度に発展した都市が存在する。 ポーランドの歴史におけるもう一つの重要な出来事は、1944年のワルシャワ蜂起である。ポーランドのレジスタンス運動である「蜂起軍」は、ナチス・ドイツの占領軍に対して63日間にわたり戦った。ドイツ軍はこれを武力で鎮圧し、ワルシャワ市の85%を爆破し、街は灰燼に帰した。敗北に終わったものの、この蜂起はポーランド人の自由と民族の団結の象徴として記憶されている。1980年代には、レフ・ワレサの指導のもと「連帯(Solidarność)」運動が展開され、民主主義のための闘争が始まり、10年後には共産主義体制が崩壊するに至った。 現在の民主的ポーランドは、経済規模8100億ドル、一人当たりGDPは24,000ドルに達し、EUでもっとも急速に発展している国となっている。 科学と芸術 世界の科学と芸術において、ポーランド人は大きな貢献を果たしてきた。ポーランドの18人の学者が合計19のノーベル賞を受賞している。マリア・スクウォドフスカ=キュリーは、1903年に物理学賞、1911年に化学賞を受賞し、2度のノーベル賞を受賞した。ポーランド出身のユダヤ人を含めれば、ノーベル賞受賞者の数はさらに増加する。世界的に有名な2人の偉人を紹介すると、以下のとおりである。 “ニコラウス・コペルニクス” 「地球を動かした男」と呼ばれるコペルニクスは、人類の世界観を変え、地球が太陽の周りを回っていることを証明した。1543年に太陽中心説を出版し、科学に革命をもたらした。彼を記念する多くの像の一つは、クラクフのヤギェウォ大学の広場にある。モンゴルの首都ウランバートルにある科学アカデミー前にもコペルニクスの像が建てられている。 “フレデリック・ショパン” 「ピアノの詩人」と称されるフレデリック・ショパンは、ポーランド芸術文化の象徴である。1810年に生まれた彼は、ポーランド民謡に基づくロマン主義音楽の美しい旋律を創作し、世界各地で演奏されている。ショパンはフランスで暮らしていたが、遺言により心臓が祖国に持ち帰られ、ワルシャワの聖十字教会の壁に安置された。彼の銅像や名前を冠した通りは、ウランバートル市のザイサン地区にもある。…
アラブ首長国連邦(UAE)は、かつては砂漠の中の小さく貧しい首長国だったが、わずか30年ほどで世界経済の中枢の一角ともいえる強国へと発展を遂げた国である。この国を実際に訪れて学ぶ機会があったため、UAEの特徴、歴史、政治体制、経済政策、モンゴルとの関係、そしてモンゴルがUAEの発展モデルから何を学べるかについて述べようと思う。 地理と経済 UAEは中東に位置し、サウジアラビアとオマーンと国境を接している。国土面積は約83,600㎢で、モンゴルのスフバートル県とほぼ同じ大きさである。人口は約1,000万人で、そのうちわずか10%が先住民族エミラティ人で、残り90%は外国人である。 UAEは世界で最も裕福な国の一つであり、その経済は石油、貿易、不動産、観光、金融から成り立っている。GDPは約5,450億ドル(世界銀行、2024年)で、一人当たりでは約5万ドル、中東ではトルコ、サウジアラビア、イスラエルに次ぐ水準である。 1971年にアブダビ、ドバイ、シャールジャ、アジュマーン、ウンム・アル=カイワイン、フジャイラ、ラアス・アル=ハイマという7つの首長国が連合してUAEが設立された。連邦最高評議会は憲法上の国家最高機関であり、立法・行政の両権限を有する。 大統領は伝統的にアブダビの首長が務め、ドバイの首長が首相兼副大統領となっている。現在の大統領はシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン、副大統領兼首相はシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームである。 外国人労働者の高比率に対応する制度 急速に経済成長する一方で、人口が少ないためUAEは外国人労働者の受け入れが不可欠である。2024年時点で、インド人470万人、パキスタン人200万人、バングラデシュ人100万人、フィリピン人86万人をはじめ、200以上の国籍を持つ900万人が働いている。 エミラティ人は医療・教育サービスを無料で受けられるが、外国人は民間セクターに依存し、教育・医療は高額となるため、単身出稼ぎ労働者が多く、母国へ送金している。外国人は労働許可を取得・更新する必要があり、特定の投資額や専門人材であれば「ゴールデンビザ」による長期滞在も可能である。無許可就労は禁止されており、期限切れの場合は1日30ドルの罰金が科されるなど、厳格な制度が整備されている。 経済の急成長 かつては小規模で貧しい村落が点在し、真珠養殖、漁業、ナツメヤシ栽培、ラクダ飼育、交易に頼っていたこの地域に、1950年代に石油が発見された。その後インフラ整備が進み、急速な成長が始まった。 1971年にイギリスから独立し、7首長国が統合、シェイク・ザイード・ビン=スルターン・アール=ナヒヤーンの指導の下で国家運営が始まった。1981年には湾岸協力会議(GCC)に加盟し、地域の安定と協力に寄与してきた。1990年代以降、観光、貿易、金融の分野に注力し、ドバイはその発展の象徴的存在となっている。…
バーレーン王国を訪問する機会を活かし、この国の地理、経済、人口の特徴、短期間でどのように急成長を遂げたか、またモンゴルとの協力の可能性について紹介しようと思う。 1. 地理、経済、統治体制 バーレーン王国は、ペルシャ湾に位置する小国でありながら、戦略的に重要な場所にあり、33の島々から成り立っている。国土面積は787㎢で、モンゴルのオルホン県と同程度の大きさである。総人口は約150万人で、その55%は外国人であり、主にインドやパキスタンからの移民が占める。 「湾岸のシンガポール」とも呼ばれるバーレーンは、開かれた経済とビジネスのしやすさで有名である。国土面積はシンガポールとほぼ同じであり、両国共に世界的な金融・貿易の中心地である。しかし、経済規模ではバーレーンのGDPは約500億ドルと、シンガポールの約10分の1であり、一人当たりのGDPもシンガポールの3分の1(約28,000ドル)である。バーレーンでは外国人労働者の割合がシンガポールよりも高く、労働力の多くを海外から受け入れている。 バーレーンの経済は多様化しており、石油・天然ガスが経済の18%を占めているものの、これは近隣諸国と比べて低い割合である。金融サービスが17%を占め、イスラム銀行や投資分野で湾岸地域の主要なハブとなっている。製造業は14%を占め、アルミニウムの生産では世界市場の11%を供給している。観光や貿易も発展しており、年間1,100万人以上の観光客を迎えている。 バーレーンでは、自国民と外国人に対して異なる政策が適用されている。例えば、公営住宅プログラムでは、40,000戸以上の住宅が建設され、バーレーン国民には無料で提供されている。一方、外国人は市場価格で住宅を購入または賃貸する必要がある。バーレーン国民は医療や教育サービスを無料で受けられ、食料や燃料の補助金もあり、湾岸地域で最も発展した社会福祉制度を持つ国の一つである。 バーレーンは立憲君主制であり、議会は「国民議会(National Assembly)」と呼ばれ、二院制を採用している。諮問評議会(Shura Council)は40人の議員で構成され、国王に直接任命される。代議院(Council of Representatives/Majlis…
現在、モンゴルでは人口350万人の27.1%にあたる914,000人が貧困状態にあり、1人当たりの月間消費額は42万トゥグルグ(国家統計局、2022年)未満である。経済は急成長しているものの、家庭への恩恵は少なく、国民の所得格差はますます拡大している。経済はほぼ完全に鉱業に依存しており、この状況から脱却できず、民間企業は銀行の高金利や税負担に苦しみ、成長できずにいる。その結果、実質的な失業率が上昇し、国民の海外流出が続いている。 今日の経済状況の原因を詳しく見ると、少数の商業銀行が政府や公共の権力を直接的にも間接的にも支配し、事業分野に対して高い金利で圧力をかけ、利益を搾取していることが挙げられる。 例えば、貸付金利が年間20%に達する国では、健全なビジネスを行うことは不可能であり、違法なビジネス、地下ビジネスだけが繁栄し、汚職が蔓延するのである。銀行グループに属さない企業は、金融コストの増加により人員削減を余儀なくされ、賃金の引き上げもできないため、有能な人材が国外へ流出し、国民は将来への希望を失う。これは国家にとって最大の損失であり、深刻な問題である。 では、なぜこのような状況が生じたのか?その原因と解決策は何なのか? 原因 貸出金利が下がらず、資金不足が生じている主な原因は、モンゴル銀行の金融政策にある。最近、モンゴル銀行は政策金利を10%に維持するほか、国内外の預金準備率を1%引き上げ、それぞれ11%と16%にした。これは金融の安定性を確保するどころか、むしろ資金不足を悪化させている。 商業銀行は、政策金利を基準に預金金利を競争的に設定し、利益を最大化するために貸出金利を急激に引き上げている。 2024年、モンゴル証券取引所(MSE)に上場している6つの商業銀行の純利益は、平均して50%増加し、総額1兆7000億トゥグルグに達した。具体的には、ハーン銀行が6,400億、ゴロムト銀行が4,000億、TDB銀行が3,000億、ハス銀行が1,700億、ステート銀行が1,080億、ボグド銀行が400億トゥグルグの純利益を計上した。商業銀行の総資産は64兆トゥグルグに達し、そのうち最大のハーン銀行が20兆、ゴロムト銀行とTDB銀行がそれぞれ15兆トゥグルグを占め、これら3行で市場の80%を支配しているということだ。昨年、ゴロムト銀行の資産は34%、TDB銀行23%、ハーン銀行17%増加した。 “商業銀行がこれほどの利益を上げている一方で、民間企業は高金利に苦しみ、倒産の危機に晒されている。この状況を「金利搾取」と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。現在、銀行とそのオーナーが所有する企業だけが成長し、他の企業は債務に苦しみ、存続が困難になっている。モンゴル銀行や金融規制委員会は、この状況を見て見ぬふりをしている。なぜなら政府の特定の幹部たちが、選挙資金を銀行のオーナーから提供してもらい、実質的に銀行のオーナーの傀儡となっているほかならない。” 商業銀行のオーナーは、自行の株式を20%以上保有してはならないという法律が制定されたものの、その施行は銀行オーナーのロビー活動によって何年も延期されている。さらに最近では、外国投資家を誘致するために、この20%を34%に引き上げるという案が出されており、それをモンゴル銀行が支持している。 また、ほぼすべての商業銀行は、グループ企業として証券会社を設立し、その取引を操作している。各商業銀行は、自行の証券会社を通じてIPO(株式公開)を行い、実際よりも高い企業価値を設定して株式を販売した。その結果、現在の株価はIPO時の価格を維持できず、大幅に下回っている。他国では、商業銀行のオーナーが他の事業に関与したり、証券会社を所有したりすることを禁じている。なぜなら、銀行のオーナーに過度な権限を与えることになるからである。 さらに、上場している6つの商業銀行は、5〜10%の株式を一般公開しただけで「公開企業」と称されており、こともあろうに金融規制委員会はこれを称賛している。更に、実際には銀行の取締役会に独立した一般代表が参加しておらず、金融規制委員会もこの事実を隠している。これは「形だけの公開企業」であり、実質的には閉鎖的な銀行支配体制が維持されていることを示している。…
2023年の時点で、モンゴルの縫製分野には1,342のメーカーが操業している。しかし、これらの4分の1が企業で、残りは個人事業者である。また3分の1はウランバートル市にあり、残りは地方に所在している。 310社の企業のうち、259社が有限会社、31社が協同組合、5社が国有企業(軍事および警察機関の制服を縫製する)、4社が株式会社である。この業界の総従業員数は6,100人で、全体の64%は1〜2人の従業員で営業しており、平均従業員数は4.5人である(縫製分野総合専門協会)。 しかし過去には、この分野に30,000人が従事し、モンゴルの輸出の30%を創出し、製品の97%をアメリカに輸出していた時代があった。1995年から2005年にかけて、中国、韓国、台湾、シンガポールから縫製会社66社が、縫製・ニット製品に関する多国間協定のモンゴルのクォータを利用するためにモンゴルに来ていた。2005年初めにこの協定が終了し、これらの企業はモンゴルから撤退した。そしてモンゴルの縫製分野は崩壊状態に陥った。 そこで、NRCC社は、NGO「開発ソリューション」の発注により、アメリカ国際開発庁の資金提供を受け、この分野の現状とその復興開発に関する調査を2023年に実施した。 この調査では、首都ウランバートル、ダルハン・オール県、オルホン県、ドルノド県、ザブハン県の生産者103人、全県と首都ウランバートルの消費者402人が対象となり、加えて縫製業者30社、政策立案者、実施者、研究者10人が参加した。 この分野の現状 この分野における公式事業と非公式事業の差は大きい。縫製事業者の大半は女性である。主な製品は、伝統的衣装や衣類である。縫製事業者の半数以上はこのような製品を生産している。大量生産はカスタム生産よりも多様化する傾向にある。生産者は形態によって異なるが、平均してキャパシティーの60%を使用している。労働生産性において首都ウランバートル、ダルハン・オール、オルホン県はトップとなっている。輸出はほとんど行われておらず、販売の大部分は国内市場で行われている。 製品コストの40%を原材料費が占め、その次に人件費が占めている。企業にとって税金は、3番目に大きな支出であり、個人事業者では管理費である。生産コストは地域によって異なる。この分野の原材料のほとんどはモンゴル国内で生産されておらず、輸入されている。国内で生産されているのは一部の革や副資材のみである。 課題 この分野の最大の課題は人材不足である。最も不足しているのは、仕立屋、編み手、デザイナーなど専門スタッフである。小規模生産者が多く、職業訓練の質が低下している。零細生産者の増加の背景には、(1)この分野には家庭の問題により柔軟性のある時間で働く必要がある女性が中心となっていること、(2)少ない投資で小規模で運営できること、(3)長年にわたって家庭の生産を支援するための政府および国際機関の政策プログラムの実施成果などがあると、生産者や専門家が見ている。 次の課題は、運転資金の不足である。運転資金不足により、企業や地元の製造業者は原材料を期限までに調達することができない状況にある。また、企業にとっては、原材料の不足、供給の遅延、知識やノウハウの不足などが課題となっている。個人事業者にとっては、機械設備の不足、成人の身体サイズの基準が時代遅れになっているなどの問題がある。地方では、先進的な技術や機械設備が不足しているため、生産者は作業の一部をウランバートルにある業者に発注しており、これにより支出が増えるという課題を抱えている。仮に、先進的な技術や機械設備を導入したとしても、改善できない状況にあるという。 協力の必要性…
2023年にモンゴルのGDPは約70兆トゥグルグに達し、そのうち3%を建設業界が占めている。これは、金額にすると2兆1000億トゥグルグとなる。しかし、2023年の新築および大規模修繕工事の完了ベース(総生産高)では、7兆2000億トゥグルグである。建設業界で活動している企業数は7,200社あり、人口集中に伴って、これらの企業の84%、建設工事全体の50%が首都ウランバートルに集中している。 建設の種別をみると、2023年には住宅用建物は40%、非住宅用建物は34%、土木構造物は22%、大規模改修工事は4%とそれぞれ占めている(国家統計局)。建設資材生産局と都市開発・建設・住宅省の予測によると、2020年から2030年までで、主要な建設資材の需要は、2倍に増加するとされる。 表1.2030年までの主要建設資材の需要(予測) No.建設資材単位年(大きさ)201720202025202720301鉄筋千.トン176.22462.33543.24098.45098.52レンガ百万.個77.4102.71477.8160.4199.53扉、窓千.m2325.9432.1621.8674.8839.54プレキャスト鉄筋コンクリート造千.m3239.9318.1457.7496.8618.05コンクリート・モルタル百万.m31.41.92.72.93.66セメント百万.トン1.31.82.52.83.47軽量コンクリート板千.m3337.0446.8643.0697.8868.18ミネラルスポンジ千.m315.320.329.231.639.49発泡ポリスチレン(EPS)千.m3353.3468.4674.1731.6910.110プラスチックパイプ千.km1.52.13.03.24.011建設用の砂と砂利百万.m31.21.72.42.63.212石灰千.トン169.3224.4322.9350.5436.0 出典:都市開発・建設・住宅省、建設資材生産局、建設資材生産工場のデータ集‐2023 この予測には、また近い将来需要が高まるグリーンビルディングと再生可能エネルギーを導入したビルの投入量の違いも考慮される必要があるという。 建設資材の供給 建設資材の供給全体の半数以上は、鋼柱、圧延鉄、その他の金属製品で占められており、コンクリート製品14%、木材と木工品13%、セメント10%、プラスチックパイプ、プラスチック窓、扉、アルミ製品、断熱材、窓と壁のガラス、砂利などの製品1〜3%、銅ワイヤーと銅パイプ、建築に使われる接着剤、乾燥混合物、コンクリートの化学混合物などがそれぞれ1%を占めている。 2021年〜2022年では、平均して建設資材の供給量全体のほぼ70%を輸入品が占め、国産品が30%を占めている(図1)。 図1.建設資材の供給に占める国内生産と輸入の割合(2021年〜2022年の平均) 建設資材の輸入額は2021年に3億3,800万ドル、2022年には4億8,400万ドルとなっている。国内生産は少しずつ伸びているものの、この分野の競争力は弱く、輸入関税を支払っても中国製品の方が安く、国内で生産された製品は、中国製品に比べて割高となっている。2017年以降、国内で年間最大100万トンのセメントを生産できる大型工場が4ヶ所建設され、稼働を開始しているが、2022年に合計140万トンのセメントが生産されている。 輸入代替の試み…
正式に登記されている中小企業は、開発途上国の国内総生産(GDP)の40%、雇用の50%を占め、経済において重要な役割を果たす(世界銀行)。中小企業は、多くの雇用を創出することで貧困緩和に大きく貢献する。 2021年の時点では、モンゴルで事業を行っている企業の66%が中小企業であり、GDPの5.5%、輸出の2.4%、輸入の9.7%をそれぞれ占めている(国家統計局2021年)。NGO開発ソリューションは、アメリカの国際開発庁(USAID)の資金提供により、モンゴルにおける中小企業の参加がなぜこれほど少ないのか、また、中小企業の競争力はどのようなものなのかについて初めて調査し、報告書を発表した。 調査方法 モンゴルの中小企業の競争力は、国際貿易センター(ITC)の中小企業競争力マトリックス手法を用いて、「企業能力」、「ビジネスのエコシステム」、「マクロ環境」の3つの経済レベルと、「競争力」、「関連能力」、「変化適応力」の3つの要素で評価された(図1)。 図1.中小企業の競争力マトリックス 柱基本的指数経済レベル競争力生産効率 資源管理 品質管理企業能力 ビジネスのエコシステム マクロ環境関連能力消費者 供給者 研究所変化適応力事業計画と財務…
世界の国々は、自国の経済発展を国内総生産(GDP)で測ってきた。モンゴルの一人当たりのGDP、つまり国民の生活水準は2023年に6,000ドル、2024年に6,800ドル、2028年に10,000ドルに達する見通しであるとオユンエルデネ首相が発表した。これが実現すれば、4年後にモンゴルは現在の190カ国中104位から順位を上げ、上位80カ国に入るだろう。しかし、そのためには、2026年までに14のメガプロジェクトを本格的に開始させる必要があると言う。では、これらのメガプロジェクトが経済に与える影響をどのように測定できるのだろうか? ケインズとセイ GDPは、その国の一年間の家計、企業、政府の最終的な購入額の総和で表される。方程式で示すと、GDP=C+I+G+(X-M):C(消費)、I(投資)、G(政府支出)、X(輸入額)、M(輸出額)である。 消費と政府支出(C+G)がGDPの3分の2を占めるため、ほとんどの人は、消費が経済の主な原動力であると見ている。消費が高く、つまり需要が多ければ多いほど供給も大きくなる(需要が供給を創出する)。したがって、ケインズ(英国経済学者、1883‐1946)は、政府の支出が多額であることは正しいことだと経済学者たちにアドバイスしている。左派および中道左派の政治勢力は、この思想を支持している。 しかし、経済は最終消費だけでなく、投資、貯蓄、つまり総支出によって動かされている。GDPは、人々の生活水準を示す重要な指標ではあるが、特定の要素が取り残されてしまうのである。要するに、サプライチェーン(supply chain)の価値(コストとも呼ばれる)は反映されないのである。つまり、製品やサービスを作り出すことから輸送、卸売および小売までの段階が示されないということである。 モンゴルでは、GDPを生産方式で計算する際、中間消費を差し引いている。しかし、その総生産高(GO:Gross Output)には、大企業と中小企業すべてが作り上げた製品とサービスの価値が含まれている。 実際の経済規模をGDPに加えて総生産高で計算するのがより現実的である。また、総生産高はGDPより大きいため、消費は経済の2分の1ではなく、4分の1と相当するため、消費は最も重要な要素ではない(図1)。 したがって、経済活動の変化を十分に示すために、政府(国家統計局)は、GDPに加えてサプライチェーンの価値、つまり総生産高の規模を毎年、四半期毎に算出し、関連する評価を出すようにする必要がある。また、一部の国では、企業と企業の間で行われる取引、つまり企業間取引と呼ばれるB2Bインデックスによって総生産高を測定するようになっていることも考慮するべきだと思う。 総生産高によって、私たちはメガプロジェクトが製品やサービスの価格にどのように影響しているのかということのほか、どの分野にどのレベルで新しいイニシアティブ、競争が起こっているのかを特定し、それによって国の経済成長を明確にする条件を整備できる。そもそも、消費は本質的に結果であり、繁栄の原動力ではない。 図1.モンゴルの総生産高、年間価格でのGDP、最終消費、10億ドル(国家統計局)…
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