イタリアのタイヤーニ副首相兼外務大臣との対話

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今回、フレルスフ大統領がイタリアを公式訪問するにあたって、同行記者団の一員となったダムバダルジャー・ジャルガルサイハンは、現地でイタリア副首相兼外務大臣を務めるアントニオ・タイヤーニ氏にインタビューする機会を得た。

■ 13世紀のマルコ・ポーロの交流について

J(ジャルガルサイハン): 今年はマルコ・ポーロの死去700周年にあたります。彼がフビライ・ハーンの宮廷へ到達した歴史的な旅を、今日のイタリアとモンゴルの関係の基礎としてどのように見ていますか。

アントニオ・タイヤーニ: マルコ・ポーロがフビライ・ハーンの宮廷を訪れた旅は、イタリアとモンゴルの文化が初めて直接出会った出来事の一つです。これは、私たちイタリア国民が何世紀にもわたりモンゴルに関心を寄せ、敬意と驚嘆を抱いてきたことの証でもあります。マルコ・ポーロの経験は、開放性、相互尊重、理解に基づく現在のイタリアとモンゴルの関係を象徴しているといえます。

J: 2024年、イタリアはチンギス・ハーン博物館でマルコ・ポーロに関する展示を実施しました。こうした文化外交は、両国国民の結びつきをどのように強めるとお考えですか。

アントニオ・タイヤーニ: イタリアとモンゴルの文化交流は近年非常に活発に進展しています。外交関係樹立55周年にあたり、チンギス・ハーン博物館で開催されたマルコ・ポーロ展やカラヴァッジョ展など重要な文化イベントが実現し、モンゴルの観客の間でイタリア文化の認知をさらに高める大きな役割を果たしました。今後も、このような取り組みを数多く展開していく予定です。

■ 二国間関係と55周年

J: モンゴルとイタリアの外交関係は1970年に樹立され、今年で55周年を迎えました。この期間で最も重要な成果をどのように見ていますか。

アントニオ・タイヤーニ: 過去55年間で、イタリアとモンゴルは外交関係、文化交流、経済協力を拡大し、多角的なパートナーシップを築いてきました。貿易・投資分野では、特に機械設備、インフラ、繊維産業において成功裏に協力を進めてきたことが大きな成果です。

また、ハルホリンにおける共同考古学研究プロジェクトのように、文化遺産保護分野の協力も重要な位置を占めています。さらに、イタリア・モンゴルビジネスフォーラムは企業間の実質的なパートナーシップ形成を促し、両国の貿易拡大に重要な機会をもたらしました。

両国関係が戦略的パートナーシップに引き上げられたことを大変喜ばしく思います。これは戦略協力、貿易、投資をさらに強化し、国際舞台における協力関係もより深まることを意味しています。

J: あなたはモンゴルの道路・運輸省のバトボルド官房長と航空関係協定に署名しました。直行便の開設は、経済や観光にどのような変化をもたらすのでしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: 本年1月にイタリアとモンゴル間で締結された初の航空サービス協定は、二国間関係における重要な節目となりました。この協定は、国際的な最新基準に沿って航空会社が運航するための包括的な法的枠組みを提供するものです。

両国間で直行便が開設されれば、政府機関だけでなく市民同士の交流、経済・貿易の往来が拡大し、関係発展に大きな推進力を与えるでしょう。

■ 経済関係と貿易

J: 2022〜2024年の二国間貿易額は1億5,000万〜1億8,800万ドルの範囲で安定した成長を見せています。イタリアは、ヨーロッパにおけるモンゴルのカシミヤの第二位の輸入国です。私たちは、原料輸出から付加価値の高い製造パートナーシップへどのように移行できるのでしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: イタリアはモンゴルを、特にカシミヤなど重要な原材料供給国として位置づけています。近年、経済関係は拡大し、イタリアの輸出も増えており、この事実がそれを裏付けています。

私たちの業界団体は、モンゴル側パートナーと協力し、ファッションや縫製・ニット製造に関する研修プログラムを実施し、2025年2月のミラノ・ファッションウィークにモンゴル人デザイナーを参加させるなど、文化交流の取り組みを始めています。次のステップは、共同工場の設立です。

イタリア企業は、モンゴル国内の製造業発展に向けて技術支援や技能育成に協力する用意があります。モンゴル大統領のイタリア訪問時に開催される経済フォーラムや、「Made in Italy」機械設備の需要増からも、両国が新しい戦略的経済パートナーシップへ進んでいることが示されています。

J: 2020年には、モンゴルの未加工カシミヤ輸出の80%をイタリアが占めていました。縫製、ニット、皮革加工分野におけるイタリア投資の可能性をどう見ていますか。

アントニオ・タイヤーニ: モンゴルはイタリア人投資家にとって非常に有望な市場であり、特に縫製産業の改革を進める「ホワイト・ゴールド(白金=カシミヤ)」イニシアチブが大きな後押しとなっています。イタリア企業は、イタリア大使館やCDP、ITA、SACE、SIMESTといった機関の支援のもと、最新技術、高品質な皮革・繊維加工技術、デザイン、研修ノウハウを持ち込むことができます。これはモンゴルで付加価値を生み、同時にイタリアのサプライチェーンの信頼性と持続性を強化します。

J: イタリアとモンゴルの繊維技術センターが設立されています。このような技術移転モデルを他分野へどのように広げることができるでしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: ACIMIT(イタリア繊維機械工業会)とイタリア貿易庁の支援で設立されている同センターは、技術提供、研修、長期的な製造協力を組み合わせた優れたモデルです。このモデルは、イタリアが国際的に強みを持つ、農業生産、再生可能エネルギー、廃棄物管理、建材、持続可能なインフラの分野でも応用できます。

基本原則はシンプルで、「知識移転」、「現地能力強化」、「長期的利益を生むパートナーシップの構築」です。

■ 今後の協力の展望

J: 今後10年間、イタリアとモンゴルの協力で最も可能性の高い分野は何でしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: 繊維・皮革産業に加えて、再生可能エネルギー・グリーン技術、農業・食品加工産業(「健康的な食」を掲げるイニシアチブとの連携)、持続可能なインフラ・都市開発、環境配慮型エンジニアリングソリューションの4分野が特に有望であると考えています。

これらは、イノベーション、持続可能な発展、共通の価値観に基づいた戦略的協力の柱となるでしょう。

J: 政府間経済委員会を、より実質的な成果につなげるために、どのように活性化すべきでしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: この委員会は、両国が共通の関心を持つ経済問題を協議し、補完できる能力を生かすための重要なメカニズムです。本年3月にウランバートルで行われた第4回会合では、輸送、農業、科学、グリーン転換、原材料の分野で協力可能性が確認されました。私たちは輸出拡大と投資機会創出を通じて、両国民の発展と繁栄に寄与することを目指しています。

■ イタリアのリーダーシップ

J: イタリアは大西洋の同盟関係を維持しつつ、アジアでは実務的な政策を進めています。この点からモンゴルが学べることは何でしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: イタリアはEUと米国との戦略関係を保ちながら、アジアにおいても実務的でバランスの取れた協力を進めてきました。同様にモンゴルも、隣国との関係を維持しつつ、欧州、米国、その他の西側諸国との関係を広げることで、経済の安定性を高め、パートナーシップを多様化し、地域・国際社会における地位を強化することができると考えます。

■ 人道・政治分野の課題

J: モンゴルは民主主義や平和維持活動に積極的に参加してきました。イタリアとは、国連など国際機関の枠組みでどのように協力できるでしょうか。

アントニオ・タイヤーニ: イタリアとモンゴルは、国連平和維持活動への最も積極的な参加国の一つです。これは、多国間主義、民主主義、人権、法の支配を支持するという共通の価値観を示しています。私たちは、多国間枠組みでさらに緊密に協力し、紛争予防、持続可能な発展、国際安全保障の促進に実質的な貢献を行いたいと考えています。

J: 気候変動や砂漠化は、地中海地域と中央アジアの両方に同様の影響を与えています。モンゴルは2026年に「国連砂漠化対処条約(UNCCD)」第17回締約国会議を開催します。イタリアはこの取り組みを支持しますか。

アントニオ・タイヤーニ: モンゴルの砂漠化対策へのリーダーシップ、持続可能な土地利用への努力を私たちは高く評価しています。ウランバートルがCOP17を主催するという決定は、モンゴルの積極的な関与とビジョンを国際社会が認めたものです。

イタリアはこの条約の揺るぎない支持国であり、COP17の準備においてモンゴルと協力する意思を改めて表明します。会議が成功し、世界で最も脆弱な地域と人々に実際の利益をもたらす成果が得られるよう、貢献していきたいと考えています。

2025年12月3日

イタリア

2025年12月4日 のデファクトインタビューの内容を一部省略しました。インタビュー全編を

Италийн Шадар сайд бөгөөд Гадаад хэргийн сайд Антонио Таяанитай хийсэн ярилцлага

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