政党の内部紛争を断つということについて

Uyanga Delger
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モンゴル国憲法第3条1項には、「モンゴルにおいて統治のすべての権力は国民に属する」と規定されている。この規定はフランス革命の思想に端を発するものであり、歴史上、国民の名を掲げた一部の政治勢力が競合勢力を排除し、人権を深刻に侵害する手段となってきた苦い歴史がある。統治権を「国民の名において」掌握したフランス第一共和政は、想像を絶する流血と全体主義体制で終結した。ドイツ第一の議会制民主主義(ワイマール共和国)はファシスト政権で終わり、さらには第二次世界大戦を引き起こした。ロシアの十月革命、そしてモンゴルにおける人民革命、その後に続いた悲劇的で教訓的な歴史もまた、いずれも「国民の名の下で」展開されたものである。

別の観点から見ると、「統治のすべての権力が国民に属する」という憲法3条は、国民の自由、国家の主権独立の根幹・基盤ともなりうる。憲法第3条1項にはまた「モンゴル国民は国家の事務に直接参加し、また選挙で組織された国家権力の代表機関を通じて、この権利を行使する」とも定められており、これは市民が政党に結集し、あるいは政党を支持し、選択することを通じて、国家の運営に直接または間接的に参加することで実現される。

「統治のすべての権力を国民に属す」という原理が政党を通じて実現されるという観点から、ドイツ連邦共和国の憲法理念を例に挙げたい。ドイツ連邦共和国の憲法裁判所は、1950年代末にはすでに、「国民の意思は国家から独立して形成されるのでなければならず、国家が国民の意思を規定するのではなく、国民の意思が国家へ届くべきである」という原則を明確に示し、運用してきた

言い換えれば、われわれがどう考えるべきかを国家が指示するのではなく、われわれ国民の共同の意思が国家の行為を導くべきなのである。この国民の意思を統合し、組織化する中心的な装置こそが政党である。ここから、政党自体が国家から独立し、内部に民主主義を備えている必要が生じる。

政党が国家から独立しているべきという原則から、ドイツ連邦共和国では政党の内部問題に国家の裁判所が直接介入することは大きく制限されている。ドイツの政党法によれば、政党は内部紛争を解決する独自の仲裁裁判所を備えた内部組織を有さなければならない。政党内部の紛争解決手続は存在しなければならず、その手続は当事者が主張を戦わせる権利、自己弁護の権利を保障し、公正なプロセスで行われ、党の内部仲裁裁判所の裁判官を忌避できる仕組みを備えていなければならない²。内部仲裁裁判所の判断に対しては国家の民事裁判所へ控訴することができるが、国家裁判所はその政党の自主性を尊重し、内部問題を直接自ら規律することがないよう注意し、極めて限定的に対応しなければならない³。

モンゴルの2023年政党法第18条でも、政党は党規約の実施を監督し、党規約で定める内部紛争を審査・解決する権限を持つ「政党の監督機関」を置かなければならないと規定している。少なくとも法律上は、政党が内部紛争を自ら独立して解決する基盤が設けられたことになる。しかしここで「監督機関」という用語は、旧体制の言葉のような印象を与える。思想を闘わせ、内部競争があるべき民主的な組織体である政党には、「監督」よりも、争いを裁断し、規範の遵守を確保する、裁判所に類する組織が内部に属すべきである。したがって、「監督機関」は現代的には政党内部の仲裁裁判所として理解し、その裁判所にふさわしい手続を整え、とりわけ党内部の仲裁裁判官(監督委員会メンバー)を忌避できる紛争解決手続を持つ必要がある。

現在起きているモンゴル人民党(MAN)の内部危機に関する報道を読むと、「監督委員会」とはまるで旧時代の国家検察・検事機関のような印象を与える。民主主義の原則、政党の自主性の観点からすると、政党は内部で多元的な意見を支持し、公正な競争を保障する組織であるべきである。この意味でも、政党は「監督」を行う委員会よりも、党のある構成員、あるいは一派が申し立てを行ったときに紛争を裁く裁判所型の組織を備えるべきである。これは、政党内部の紛争が国家的危機へと波及するのを防ぐ手段であるだけでなく、政党内部の問題を国家に直接処理させ、国家と党が一体化した全体主義体制へ逆戻りしないための条件を整えることにも資するのである。

¹ Maximillian Steibeis, Marion Detjen, Stephan Detjen, Die Deutschen und das Grundgesetzt, Bonn 2009, S. 216 ff.

² § 14, Abs. 4 Parteiengesetz.

³ Ipsen, in: Ipsen, Parteiengesetz, 2. Auflage 2018, § 10 Rn. 35

2025年10月28日

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