縫製を必要とする縫製分野

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2023年の時点で、モンゴルの縫製分野には1,342のメーカーが操業している。しかし、これらの4分の1が企業で、残りは個人事業者である。また3分の1はウランバートル市にあり、残りは地方に所在している。

310社の企業のうち、259社が有限会社、31社が協同組合、5社が国有企業(軍事および警察機関の制服を縫製する)、4社が株式会社である。この業界の総従業員数は6,100人で、全体の64%は1〜2人の従業員で営業しており、平均従業員数は4.5人である(縫製分野総合専門協会)。

しかし過去には、この分野に30,000人が従事し、モンゴルの輸出の30%を創出し、製品の97%をアメリカに輸出していた時代があった。1995年から2005年にかけて、中国、韓国、台湾、シンガポールから縫製会社66社が、縫製・ニット製品に関する多国間協定のモンゴルのクォータを利用するためにモンゴルに来ていた。2005年初めにこの協定が終了し、これらの企業はモンゴルから撤退した。そしてモンゴルの縫製分野は崩壊状態に陥った。

そこで、NRCC社は、NGO「開発ソリューション」の発注により、アメリカ国際開発庁の資金提供を受け、この分野の現状とその復興開発に関する調査を2023年に実施した。

この調査では、首都ウランバートル、ダルハン・オール県、オルホン県、ドルノド県、ザブハン県の生産者103人、全県と首都ウランバートルの消費者402人が対象となり、加えて縫製業者30社、政策立案者、実施者、研究者10人が参加した。

この分野の現状

この分野における公式事業と非公式事業の差は大きい。縫製事業者の大半は女性である。主な製品は、伝統的衣装や衣類である。縫製事業者の半数以上はこのような製品を生産している。大量生産はカスタム生産よりも多様化する傾向にある。生産者は形態によって異なるが、平均してキャパシティーの60%を使用している。労働生産性において首都ウランバートル、ダルハン・オール、オルホン県はトップとなっている。輸出はほとんど行われておらず、販売の大部分は国内市場で行われている。

製品コストの40%を原材料費が占め、その次に人件費が占めている。企業にとって税金は、3番目に大きな支出であり、個人事業者では管理費である。生産コストは地域によって異なる。この分野の原材料のほとんどはモンゴル国内で生産されておらず、輸入されている。国内で生産されているのは一部の革や副資材のみである。

課題

この分野の最大の課題は人材不足である。最も不足しているのは、仕立屋、編み手、デザイナーなど専門スタッフである。小規模生産者が多く、職業訓練の質が低下している。零細生産者の増加の背景には、(1)この分野には家庭の問題により柔軟性のある時間で働く必要がある女性が中心となっていること、(2)少ない投資で小規模で運営できること、(3)長年にわたって家庭の生産を支援するための政府および国際機関の政策プログラムの実施成果などがあると、生産者や専門家が見ている。

次の課題は、運転資金の不足である。運転資金不足により、企業や地元の製造業者は原材料を期限までに調達することができない状況にある。また、企業にとっては、原材料の不足、供給の遅延、知識やノウハウの不足などが課題となっている。個人事業者にとっては、機械設備の不足、成人の身体サイズの基準が時代遅れになっているなどの問題がある。地方では、先進的な技術や機械設備が不足しているため、生産者は作業の一部をウランバートルにある業者に発注しており、これにより支出が増えるという課題を抱えている。仮に、先進的な技術や機械設備を導入したとしても、改善できない状況にあるという。

協力の必要性

小規模生産者にとっては、協力することが大いに必要である。小規模生産者は、原材料の調達、機械設備のトラブルの解決、大量受注における共同作業、大手企業のノウハウを学ぶなど、これらのことにおいて協力する必要があるけど、どのように協力していくか、その方法がわからない、または見つからない状況である。協力したいという意向はあるものの、協力した経験が少なく、分業についての理解が薄く、他の生産者についてあまり把握しておらず、情報不足である。

“また、生産者のインタビューによると、(1)税金、社会保障料、関税などが圧力となっているほか、すべての生産事業者が公正に税金を支払うシステムがないため、これが公式に事業を行っている事業者にとって不公平な競争条件を生み出している、(2)政府が実施している生産を促進する政策やプログラムは長期的に安定して実施されていないことや実施過程に欠如があり、官僚制が横行しているため、これが生産者にとって支援というより、逆に足かせとなっている”という。

生産者らは、政府の政策や決定に関連する問題に対して、団結して業界を代表し、政策立案者に業界全体の課題を代弁する上では、専門組合が重要な役割を果たすことができると指摘している。専門組合への個人事業者の参加が少なく、企業の参加が高い。

機会

縫製分野は今後も拡大が見込まれている。縫製業者のほぼ80%が今後3年間に生産を拡大する予定であり、企業の30%は製品の輸出を計画しており、昨年ある程度の投資が行われた。投資は自己資金、銀行融資、中小企業支援基金から出ている。

生産者の大多数は、事業拡大における知識とスキルを持っており、半数以上は機械設備があり、資金があるのはわずか10%であるという。生産者らは、業界の発展傾向についての知識を高め、自分たちで人材を養成するようになった。また、人材を持続的に雇用するために職場環境の改善や、従業員の社会的問題の解決に向けてフレックスタイム制などの良い事例を導入している。

また、生産者らは大量の受注を受け、他の工場と分担し、注文が多いときは下請け業者を雇うようになっている。大手生産者は、分業として機能することに加えて、バリューチェーンを構築し、地方に拡大させる傾向にある。

消費者調査によると、モンゴルで生産された衣類の品質が技術面で大幅に向上しており、サイズ、素材、伸縮性、耐久性、デザインなどの点で輸入衣類より優れていると、多くの消費者が見ている。しかし、このことをすべての消費者が必ずしも知っているわけではない。

調査によると、大手生産者は広告宣伝やマーケティングに注意を払っているが、小規模生産者は広告宣伝やマーケティングに無関心であり、それをどのように行うかについての知識やスキルに欠けているという。

解決策

生産事業者は、生産拡大においては、資金援助、研修、アドバイス、情報収集が重要であると見ている。例えば、人材育成のための研修、開発支援研修、事業管理研修、アドバイス、技術や機械操作研修などが重要だという。

また、“資金面においては、中小企業への融資条件の緩和、融資に担保を求める代わりに生産活動が持続的に行われているかどうかを確認し、融資を交付するようになってほしいなどの意見が出ている。さらに、生産事業者にとっては、分業の設定方法、責任の分散方法、および協力協定の条件の合意などについての研修と情報が大いに必要”とされている。

職業訓練を支援する国の政策を変更し、改善する必要がある。職業訓練学校の学生が企業で実習することを公認し、専門学校の理事会に生産者の代表を入れる必要がある。

生産者らは、縫製分野が長期的に軌道に乗って行くためには、税制を通じての支援が必要だと考えている。また、税関の監視を改善させ、縫製製品が非課税で輸入されることを停止し、企業の原材料輸入の関税を緩和する必要がある。

業界の協力活動、縫製分野の分業体制開発には、専門組合の役割は非常に重要である。したがって、生産者への情報提供、需要と供給に応じた研修、相互に経験を交換し、交流関係を強化することに焦点を置いた活動が必要であり、これらを専門組合が団結して実施していくことが重要である。

このように業界が抱えている多数の問題を詳細に分析し、的確に調整し、解決して行かなければならない時にきている。この分野は成長する大きな可能性を持っている。したがって、特定の製品をブランド化し、世界市場に進出させる機会が大いにある。モンゴルの縫製分野には、縫製と装飾が必要である。

2024年11月28日■

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