メガプロジェクトの成果をどのように測るか?

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世界の国々は、自国の経済発展を国内総生産(GDP)で測ってきた。モンゴルの一人当たりのGDP、つまり国民の生活水準は2023年に6,000ドル、2024年に6,800ドル、2028年に10,000ドルに達する見通しであるとオユンエルデネ首相が発表した。これが実現すれば、4年後にモンゴルは現在の190カ国中104位から順位を上げ、上位80カ国に入るだろう。しかし、そのためには、2026年までに14のメガプロジェクトを本格的に開始させる必要があると言う。では、これらのメガプロジェクトが経済に与える影響をどのように測定できるのだろうか?

ケインズとセイ

GDPは、その国の一年間の家計、企業、政府の最終的な購入額の総和で表される。方程式で示すと、GDP=C+I+G+(X-M):C(消費)、I(投資)、G(政府支出)、X(輸入額)、M(輸出額)である。

消費と政府支出(C+G)がGDPの3分の2を占めるため、ほとんどの人は、消費が経済の主な原動力であると見ている。消費が高く、つまり需要が多ければ多いほど供給も大きくなる(需要が供給を創出する)。したがって、ケインズ(英国経済学者、1883‐1946)は、政府の支出が多額であることは正しいことだと経済学者たちにアドバイスしている。左派および中道左派の政治勢力は、この思想を支持している。

しかし、経済は最終消費だけでなく、投資、貯蓄、つまり総支出によって動かされている。GDPは、人々の生活水準を示す重要な指標ではあるが、特定の要素が取り残されてしまうのである。要するに、サプライチェーン(supply chain)の価値(コストとも呼ばれる)は反映されないのである。つまり、製品やサービスを作り出すことから輸送、卸売および小売までの段階が示されないということである。

モンゴルでは、GDPを生産方式で計算する際、中間消費を差し引いている。しかし、その総生産高(GO:Gross Output)には、大企業と中小企業すべてが作り上げた製品とサービスの価値が含まれている。

実際の経済規模をGDPに加えて総生産高で計算するのがより現実的である。また、総生産高はGDPより大きいため、消費は経済の2分の1ではなく、4分の1と相当するため、消費は最も重要な要素ではない(図1)。

したがって、経済活動の変化を十分に示すために、政府(国家統計局)は、GDPに加えてサプライチェーンの価値、つまり総生産高の規模を毎年、四半期毎に算出し、関連する評価を出すようにする必要がある。また、一部の国では、企業と企業の間で行われる取引、つまり企業間取引と呼ばれるB2Bインデックスによって総生産高を測定するようになっていることも考慮するべきだと思う。

総生産高によって、私たちはメガプロジェクトが製品やサービスの価格にどのように影響しているのかということのほか、どの分野にどのレベルで新しいイニシアティブ、競争が起こっているのかを特定し、それによって国の経済成長を明確にする条件を整備できる。そもそも、消費は本質的に結果であり、繁栄の原動力ではない。

図1.モンゴルの総生産高、年間価格でのGDP、最終消費、10億ドル(国家統計局)

 総生産高、市場価格で       GDP        最終消費

大企業と中小企業の健全性と強さは、その国の経済がどうあるかで決まる。人々の貯蓄、企業の投資、イノベーション、そして製品に対する消費者の欲求が成功の基盤である。したがって、経済成長は、需要側ではなく供給側(供給が需要を創出する)にある。これをフランスの経済学者ジャン=バティスト・セイ(1767-1832)は、200年前に「急速な変化と経済成長は供給で創出される」と論じた。この思想は、右派および中道右派の政治勢力に支持されている。

一人当たりのGDP1万ドルになるには…

オユンエルデネ首相は、2025年の予算案を発表する際、「一人当たりのGDPが1万ドルに達した諸外国では、信用格付けは1〜2レベル上がり、融資金利が30%に下がる。外国投資は1.5倍から3倍に増加し、インフラ問題は解決される。科学技術への投資が増加し、生産性が向上することで経済の多様化をもたらす。熟練した人材が海外から自国に戻り、優秀な外国人専門家たちがその国で働き始める。国民の平均賃金は最大60%上昇し、世帯収入の増加により貧困率が減少し、公務員の賃金上昇によりガバナンスと生産性が向上する。教育や保健分野の発展が促進され、質の高いサービスを提供するようになる。質の高いサービスを受けることで、国民の生活の質が改善し、平均寿命が延びる」と語った。

しかし、これらすべてをモンゴルで実現させるためには、“セイの法則”を実施し、ビジネス環境の改善と平等な権利保障、特定の税金の引き下げ、イノベーションへの奨励、国有企業の段階的な民営化、政策による外国銀行の国内進出、自由競争の促進、正義の確立、司法制度の改革、価格の自由化などの問題に必要な措置を講じていかなければならない。

これらすべてが2028年までに達成されるかどうかは、政府と国会、そして国民の参加と要求にかかっている。

2024年10月15日■

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