TO WHOM ARE WE GIVING GOVERNING POWER?
議会制民主主義の国ではオープンな自由選挙が行われ、過半数を得票した政党に政権を委ねる。政権与党が党内で民主主義の原則を守ってこそ、国を民主主義のあるべき姿へと導くことができる。こうした国は繁栄し、国民が勤勉で豊かな暮らしを享受している。
では、モンゴルの政党における民主主義はどのレベルなのか?
この答えを求めデファクト研究所は初めて「政党内の民主主義指数」調査を実施し、報告書を公表した。
「調査結果では、モンゴルの政党は政党の要件を満たしているか、また政党としてみた時組織としての成熟度に懸念すべき姿が現れた。」
政党の成熟度に関する調査
モンゴルの政党は土地開発や所有権問題を取り扱う機関、税関より腐敗していることが、アジア財団の「腐敗の認識と知識に関する調査」で明らかになっている。過去10年間、この調査の腐敗度ランキングでは、2015年に政党は2位、2016年に1位、2017年に2位となっていた。政党の腐敗を断つためには社会という外的要因だけでなく、党員の努力という内的要因も必要である。
この調査の前に、デファクト研究所は政党の成熟度調査のモデルを探した。結果、イスラエルにある民主主義研究所の「政党の民主主義指数」という報告書に行きついた。この報告書を読み、同研究所に連絡して彼らからアドバイスを受けた。そしてデファクト研究所はそのイスラエル方式を取り入れ、モンゴルの政党に関する調査を2018年2~5月にかけて実施した。
調査の趣旨は政党の組織としての成熟度、党員の知識を測ることである。この調査の対象となる、最高裁判所に登録されている28の政党にアンケートを依頼した。そのうち6党だけが依頼に応じてくれた。10党の党首が「調査は受け入れられない」、12党の党首が「折り返し連絡する」と約束してくれたが最終的に電話にすら応答しなくなった。調査に応じてくれた政党が党員の名前と電話番号を提供してくれたことに感謝している。
“調査は各政党の党員に電話でアンケートを取る形で行った、また専門家たちと公開インタビューを行う形で実施された。”
調査対象者は、調査に応じてくれた6党の党員総数535,324人となる。ここでアンケートを集計する際のロスを5%として設定し、384人に電話アンケートを実施した。それに先立ち、政党内の民主主義や財源の実態などの調査項目を明確にさせるため、10人の専門家を招き公開インタビューを行った。集計されたアンケートは参加、競争、透明性、財源といった4つのカテゴリーで分析され、政党内の民主主義を評価した。
調査結果
次の2つのグラフが調査結果となる。
党員の参加というカテゴリーでは、政党内での党員の影響力と参加規模を分析した。このカテゴリーの点数は20点満点とし、調査に参加した6党の平均点数は10.25だった。競争というカテゴリーでは、1つの役職に対する党員の競争倍率である。党内の権力構造における主な役職で選挙が行われたか、全ての党員に候補となる機会は平等に与えられるのかを分析した。これは24点満点として、対象になった6党の平均点数は16.28だった。
透明性は、党の活動計画書や報告書を党員の目に触れる機会がどのくらいあるか、政党の活動が公開されているかを見るものである。これも24点満点で、対象6党の平均点数は9.26だった。政党内の民主主義において最も重要な要素は財源である。政党の財源は党の民主的な活動に直接影響する。財源のカテゴリーの点数を32点満点と設定した。このカテゴリーでは対象6党の平均点数は10.78だった。
イスラエルの民主主義研究所の報告書では、点数によって3つのカテゴリーに分類する。1)61〜100点を獲得した党は民主主義の政党、2)30〜60点は半民主主義の政党、3)30点以下の場合は民主主義ではない政党。この分類によればデファクト研究所の調査対象となった6党は「半民主主義の政党」である。言い換えれば、モンゴルの政党はいずれも民主主義が不十分である。イスラエルでは民主主義研究所が調査した政党18党のうち5党の点数が61点以上だった。例えば、労働党が86点で最高点を獲得した。また、イスラエルでは政党の獲得点数の差が大きかった。
今回のデファクト研究所の調査では、28党のうちウェブサイトがある党は3党(民主党、人民党、緑の党)のみだった。その他の党はウェブサイトもソーシャルメディアの公式ページもなかった。あるとされる一部の政党のページは公式ではない印象を受けた。
結論
私たちが今回、政党内の民主主義を指数化することで政党の未来へ光を照らしている。つまりこの調査結果から政党は自分たちの活動、政党の民主主義を見直すことができる。また、党員に必要な政治教育にも貢献できると思っている。その理由は調査アンケートを行う際、私たちは政党法、政党の財源、民主主義について党員に説明する必要があったからだ。例えば、一部の党員は党が国から交付金を受けていることを全く知らなかったと言っていた。
今回の調査分析で、モンゴルの政党をとりまく法的環境の整備が必要であることがわかった。政党内の民主主義とは組織化の過程である。例えば、党の会計報告書には統一された形式がない。会計に関する各党の見解が異なっている。政党の財源の透明性は民主主義において重要な役割がある。政党は資金の使途について報告していない。資金の流れが不明瞭である。これがモンゴルの腐敗の元凶だと批判されている。腐敗を一掃する重要な鍵は政党内部の民主主義であるかもしれない。なぜならば、党内の問題について党員自身が良く理解していれば、党の運営に圧力をかけることができるからだ。
政党法第20条には、政党は資金活動報告書を毎年作成し、監査を受けて承認されたものを公表すると定められている。しかし、どの党も公式ウェブサイトに会計報告書を載せていない。選挙法第40条6項には、選挙管理委員会は政党の選挙費用報告書を監査し、45日以内にその結果を公表する義務があると定められている。だが、選挙管理委員会のウェブサイトには2016年の国政選挙、2017年の大統領選挙の報告書が未だに載せられていない。
政党内で民主主義が確立され、あらゆる決定のプロセスがオープンで透明性があり、責任感があれば、国民は政党を信頼するようになる。
国民の信頼が増すことによって
本当の民主主義の土壌が作られる。
デファクト研究所はこの調査をより質の高いものにし、毎年実施していく。
2018年6月27日
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