大渋滞、そして厳寒の到来

Jargal Defacto
Jargal Defacto 40 Views
0 Min Read

THE FREEZING COLD AND THE TRAFFIC CONGESTION

ウランバートル市民は、市内及び近郊の交通渋滞が社会生活に支障をきたしていることを毎朝感じていることだろう。平日は交通量の5分1を自動車のナンバーで制限しても、渋滞は一向に改善されない。この状況で仕事や日常生活のリズムが失われ、毎分数千リットルの燃料が無駄に消費され、排出される排気ガスによって多くの歩行者が害を受けている。

経済が成長し人々の生活水準が向上するにつれ、自動車が広く普及するようになった。現在、モンゴルには73万6000台の乗用車が登録されており、その60%がウランバートル市に集中している。

2019年には66,172台の乗用車が日本から輸入されている。輸入額は1日平均1,640万トゥグルグになり、毎日約190台の乗用車が輸入され、110台の乗用車が新規に登録されている。

モンゴルは中古自動車で溢れる国になりつつある。ウランバートルで登録されている43万7000台の乗用車の廃車までの寿命を見ると、0~3年が2.2%、4~6年が3.8%、7~9年が22.4%、9年以上が72%となっている。

これら中古自動車の大半がトヨタのハイブリッド車プリウスである。登録されているプリウスの台数は、ウランバートルで158,692台、それ以外の地域で37,919台である。

88ebe155c6b4e6bae0387007ed7bf966.png

見えざる料金

ウランバートル市の深刻な渋滞の要因の1つは、政府の高官たちと関係している。なぜなら政府高官たちは、ウランバートル市の土地を政府の省と市役所の二つの管理下に分け、両方とも競って土地を盗み、都市計画を台無しにしたからだ。道路に面した一等地を民間企業の所有とし、一部の人に数百ヘクタールもの土地を不正に交付したため、密集したマンションや住宅街が建設された。この結果、車どころか人もすれ違うことができないほどの細い路地がいくつもでき、主要な道路が渋滞となっている。

また新たに建設された道路は、数回雨が降っただけで穴が開くようなものだった。これに責任を負う人が見当たらないので、修繕する資金も出されない。

また、交通事故が増加している要因の1つは、右側通行のルールを持つこの国で、自動車の大半が左側通行のルールで製造された自動車ということにある。そのため、追い越し時の危険性が高まり、対向車のヘッドライトの眩しさ、有料道路や駐車場の料金精算に時間がかかるなどの問題が引き起こされた。

中古自動車、品質の悪い道路、無責任な運転手によって数百人が交通事故に巻き込まれ、数千人が身体障害者となり労働能力を奪われている。2019年の全国の交通事故件数は25,302件で、そのうちの86.5%がウランバートルで発生したものだ。

また1日平均2人が交通事故で命を落としている。交通事故だけで約250億トゥグルグの損害が出ている。

ウランバートル市の大気汚染の10%が自動車などの交通手段によるものだ。自動車から排出される排気ガスは、大気中の二酸化炭素の30%、二酸化窒素の78.5%を構成する。低年式の自動車の排気ガス排出量は比較的多いため、先進国では年式が古ければ古いほど高い税金を支払うようになっている。

また、先進国では中古自動車の95%がリサイクルされている。一部の部品は危険廃棄物になるため、必ず収集し、リサイクルする法律がある。自動車のバッテリーは危険性が高いため、例えば、私たちの隣国であるロシアと中国は、自国領土上空の輸送を禁止している。

しかし、モンゴルで走っている数十万台の中古自動車、それらの危険性が高い部品を収集する場所はない。ほんのわずかな部品や危険廃棄物が解体業者の倉庫に集められるが、ほとんどは一般家庭の庭先に置かれたり、草原に投棄されたりしている。そのため危険廃棄物はどこにでも転がっており、水源と土壌を汚染している。

モンゴルでもこの種の危険廃棄物をどのように輸送し、リサイクルし、廃棄するかについての法律がようやく今年に入って施行された。

古くなった自動車を廃車にした人に報酬を与え、解体された部品を分別し、リサイクルする時が来たと思う。幸い今年からこのような廃棄物を収集し、リサイクルする工場を「モンゴル自動車リサイクルパーク」社が、韓国国際協力団(KOIKA)の援助を受けてナライフ区に建設している。

早急に取り組むべきこと

国は自然環境や社会に及ぼされた悪影響、損害に対して課税することで解決をはかることができる。特に寿命が長い中古車の特別税を少なくとも2倍に引き上げることが妥当だろう。

今日、国民のほとんどは最大2000cc以下のエンジンを搭載した車両を使用している。小型エンジンを搭載した新車の排気ガス排出量は少ない。そのため、新車もしくは製造後3年までの自動車の特別税を免除し、人々の選択肢を広げるべきである。これは自然環境だけでなく、人々にとっても適切な解決策だと思う。安いものほど高くつくということを消費者が理解しなければならない。

また、自動車税政策を改善する必要がある。大型エンジンの高級車に課せられる自動車税を数倍に引き上げ、非効率的な利用を制限すれば、交通渋滞が減少する。こうでもしないとナンバープレートの偶数、奇数で走行制限をしても交通渋滞は解消されない。逆に自動車の数が増加するだけである。

言うまでもなく現行法や規定の適用を厳格化しなければならない。右側通行という基本ルールを守らせ、まず右ハンドル車の輸入量や使用などに制限をかけなければならない。モンゴルはロシアと中国を結ぶ陸路のトランジット国なので、その両国と共通の交通ルールを持つことが経済的側面から見れば効率的である。

大気汚染、環境汚染削減のための国家プログラム(2017年)には明確な規定があるが、それを実行する政府の決定は未だに出されていない。これらの取り組みと同時に公共交通機関の利便性やアクセシビリティを最優先に改善する必要がある。今日、中古自動車が増加した最大要因の1つは、公共交通機関の衰退であることは確かだ。

人々の生活は自動車に依存しているため、その規制は多面的かつ包括的な解決策を必要とする。いつまでも一時的な抗議を避けていては状況は変わらない。逆に問題が深刻化するため、政府政策で早急に解決する必要がある。

2020年10月16日

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia

Share this Article
Leave a comment