B.ドゥルグーンの個展「PURE」

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B. DULGUUN’S SOLO EXHIBITION “PURE”

芸術家B.ドゥルグーンによる個展「ピュア」がMN17ギャラリーで開かれた。そこでは誰もが安堵感と聖域を感じることができるだろう。騒がしい通りの交通渋滞、歩道を行き交う歩行者のジグザグとした動き、群がるヒロハハコヤナギの種子、突き刺すような夏の太陽、この整然とした魅力的な個展を見ると、それらすべてが背景から消えていくようである。

小さな作品を中心とした柔らかな光が差し込むギャラリーに足を踏み入れた来訪者は心から歓迎されていると感じる。展示の間取りは、広々としたアットホームなワンルームマンションを連想さ、その作品群は十分なスペースで均等に区切られている。入って左側にスタディエリアがあり、冬の間の数ヶ月に感じたことをアーティストが心を込めて見るものに訴えかける。少し離れた壁の後ろには、「冬」と題したファブリックアートの作品があり、そこには、家族や愛する人たちがティーポット、温かいお茶、居心地の良いテーブルを囲んで、厳しい冬の寒さの中でも心を癒やしている様子が描かれている。

モンゴル人が「ホイモル」と呼ぶ最も崇敬される空間には、2つの小さな抽象的な作品「Trace-1」と「Trace-2」が展示されている。モンゴルの家庭のホイモルに飾られているアイコンのように、木製のフレームが付いたガラスの箱に大切に吊るされている。どちらの作品も白いリネンをバックに、立体的な形をした図形で構成されている。黒いステッチが織り成す不規則な曲線の上に置かれた形は、降り積もったばかりの雪の上の足跡のように、白い表面に糸を引くように描かれ、あるときは一緒になり、またあるときは離れていく。また、静かに降る雨のようにも見える。

他の作品に目を向けると、ステッチはゴールドのタッセルに変わり、ミッドナイトブルーのオーガンザ生地の縁を優しく流れ落ちている。これはこの個展のタイトルにもなっている「ピュア」と名付けられた作品である。これは、結晶のような紺色のシルクに金色の糸を縫い付けたインスタレーションとなっている。繊細なストール2枚と、丁寧に作られた透き通ったベスト3枚から構成されている。個々の作品が持つ曖昧な陰影とクリアなシルエットは、真夏の夜、星空を照らす小川から吹くそよ風のような清涼感を演出している。

ギャラリーの最後には、「Noon」と題した3枚組の作品が展示されている。ここでは、立体的なリネンの図形が、バラ色のきらめく花輪の長いたてがみの間から覗き込んでいる。まるで、夜に浄化されたその図形が、新しい朝を迎える準備ができているかのように。幾重にも重ねられたガーランドの直線が、ボリューム感のあるきらめきでステッチされたリネンの図形を包み込み、「ピュア」の金色の糸の繊細さとは異なり、「Noon」の光沢ある華やさは、まるできらびやかに街を表しているようだ。

「ピュア」は、アーティストにとって成功裏に終わった。鑑賞する者が日々の雑踏やルーティンから解放されるための収束点であるように思える。B.ドゥルグーンによるこの思慮深く誠実な個展は、夜の静けさが魂を浄化する力を持ち、失われたエネルギーを回復する力を持ち、新たな目的を持って人生の旅を続けることができるという感情を呼び起こすかもしれない。

このウランバートルでの個展に先立ち、ドゥルグーンは2021年12月にMN17 ギャラリーで個展「Soul」を開いた。彼女はファッションデザインを専門としており、テキスタイルや生地に関する独自のスキルをアートに融合している。彼女の作品には、生きている魂や、私たちが身につける衣服や衣料から感じる強さなど、アーティストの個人的なビジョンが良く表現されている。

最近、彼女はパリのCité Internationale des Artsで4ヶ月間のアーティスト・レジデンス・プログラムを修了した。このプロフェッショナル・クリエイティブ・プログラムのコンペティションは、モンゴルのアリアンス・フランセーズが主催し、毎年開催されている。

J.アリオナー、芸術評論家

     2022年7月4日、UBPost新聞に掲載された。

ウランバートル市

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