モンゴルの経済統計は一見するとかなり良好である。2024年の実質GDP成長率は5.1%、2025年は5.5%となった。一人当たりGDPは7,000ドルを超え、モンゴルは高中所得国の区分に入った。鉱業、サービス業、政府支出がこのマクロ的成果を形づくったのである。だが、2024年の多次元貧困指数によれば、人口の26%が貧困の状態にある。さらに、貧困線をわずかに上回る脆弱層に属する人々まで含めれば、実際の数字は人口の3分の1に達する。
これは統計の誤りではない。政策の誤りである。成長の果実をごく一握りの者だけが享受している一方で、大多数の人々は貧困に喘ぎ、より高い賃金を求めて海外へ移住し、政府に対する信頼は低下し、社会的不満は増大し続けている。
この明白なパラドックスは、制度派経済学に基づくインセンティブの機能不全によって説明することができる。政治資金が不透明であるとき、資源配分を歪めるレントが生じる。その結果、企業は生産性によってではなく、政治に食い込む機会やアクセスによって競争する傾向を強め、民間投資と雇用の成長は鈍化する。このような体制の下では、経済成長と貧困が並存しうる。なぜなら、成長を個々の家計にまで伝達する仕組みが、構造的に弱いからである。
その原因
第一に、税と社会保険料の負担が極めて重い。雇用主が負担する社会保険料は先進国並みに高く、それが先進国よりもはるかに低い賃金水準に課されているため、正式な雇用を生み出すことが非常に高コストになっている。企業は小規模のままにとどまるか、あるいは地下経済へ移行している。若者は失業するか、国外へ出て行っている。
第二に、民間部門の雇用が不足している一方で、公務員の数は増え続けている。多くの人が事業を起こす代わりに政党員となり、公職を求めている。
第三に、国有企業は100社を大きく超えており、その3分の1は赤字で運営され、財政を食い物にし、民間投資を圧迫している。エネルギー価格を補助金で抑え込んでいることは、投資シグナルを歪め、財政赤字を拡大させている。
第四に、最も深刻な原因は、政党資金の不透明性である。巨額の未公表の「献金」は、入札、プロジェクト、住宅および事業向けの優遇融資、さらには公職そのものを「買う」ために使われるようになっている。まさに「権力は腐敗し、絶対的権力は絶対的に腐敗する」という状況である。政党の資産と資金調達が秘密にされているため、政治・経済エリートは国家を自らの目的のために利用し、司法を歪め、一般市民は正義を信じなくなっている。その結果、民間部門の活力の弱さ、パトロネージ政治、移住、そして固定化した貧困という悪循環が生み出されている。
“経済学者として見れば、これらは個別の問題ではなく、一つの総合的なインセンティブ歪曲の罠である。そのメカニズムは連鎖する歪みとして現れる。すなわち、政治資金の不透明性がレント配分を生み出し、それが市場競争の公平性を損なう。歪められた競争は企業の生産性と成長を鈍らせ、弱い企業ダイナミズムは質の高い雇用を創出する可能性を制限している。その結果、マクロ経済成長と家計の生活の質との間にある構造的繋がりが断ち切られ、貧困は固定化されるに至っている。”
モンゴルには資源の豊かさがあり、若い人口があり、成長の可能性がある。だが、これまでに述べた統治メカニズムを是正しなければ、経済成長は不平等をいっそうあおるだけである。
では、どうすべきか
今日から始められる三つの明確な措置がある。
第一に、政党の資産と資金を透明化することである。上限を超えるすべての献金を完全に公開し、支出に厳格な上限を設定し、得票数に基づく部分的な公的助成を導入するべきである。このように透明化し、監視できるようにすれば、「権力を金で買う」市場を解体し、司法の従属や入札不正に終止符を打つことができる。
第二に、雇用創出にかかる負担を軽減することである。付加価値税および小規模企業・新規雇用に対する社会保険料を段階的に引き下げ、社会プログラムをより的確に対象化するべきである。エネルギーに対する一般的補助金は、所得水準に基づく直接支援へと置き換えるべきである。赤字の国有企業は、専門的な経営の下で民営化するか、もしくは停止するべきである。
第三に、コネではなく正義を確立することである。補助金、融資、公職は、透明で競争的な選考によって付与しなければならない。それと並行して、独立した司法任命制度と、真の権限を持つ汚職対策裁判所を創設するべきである。
これらは革命的な発想ではない。基本原則にすぎない。モンゴルに欠けているのは成長そのものではなく、成長を尊厳と機会のある生活へと転換する制度である。秘密の取引と身内のための補助金に依存してきた古い道を歩み続けるのか。それとも、公正で競争的な制度を築き、「政党の封筒」ではなく、労働と創意工夫が成功を決定する社会をつくるのか。選択は明白である。国民はそれを見ている。
“次の10年を、すべての人のための発展にするのか、それとも少数の人のための発展にするのか。モンゴル国民である私たちは、その選択を今まさに下す時に来ている。”
2026年4月13日■

