デファクトレビュー (2018.05.06)

Jargal Defacto
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DEFACTO REVIEW (2018.05.06)

報道の自由

報道機関がオーナーの為に情報提供をしなくなる時、一つの原則が働く。

報道の自由、表現の自由の擁護を目的としたジャーナリストによるNGO国境なき記者団が毎年発行している「世界報道自由ランキング」の今年のランキングではモンゴルは180ヶ国中71位だった。 しかし、2017年は69位、2015年は54位になっていた。これをみると過去3年連続して順位を落としている。

報道の自由の順位が下がっている主な理由は企業、政府、報道機関の間にある賄賂問題と関連している。モンゴルには約450の報道機関が活動している。M.ムンフマンダフ報道研究所所長は「報道機関がオーナーの為に情報提供をしなくなる時、一つの原則が働く」と述べた。モンゴルには報道機関を誰が所有しているかを隠す法的不備があり、報道機関の独占を制限する法律規程がない。報道機関の特別許可に関する全てを政府が握っている。政府は広告宣伝費に大きな予算を割り当てているが、その予算をどのように使うか何らの規定もない。

殆どのモンゴル人記者は残業し、低賃金で働いている。そのため報道機関が手当を調達するために有料情報を作成している事は明らかだ。モンゴルの広告市場全体の総額は約2000万ドルで、トゥグルグに換算すると500億だ。その60%に当たる1200万ドルはテレビ局が占めている。こうなると450の報道機関にとってこの額では足りない。

報道機関は人々の知的好奇心を満たすための「食料」を与えるもので、銀行のようにオーナーを明確にする法律を作る事、広告宣伝費全体の50%以上をテレビ局が取れないようにする事、政府の広告宣伝にかかる予算配分規則を作成する事、政治家による報道機関の所有を禁止する必要がある。このように関連する法律の改訂を行い、テレビ局の特別許可の更新を3年毎に行い、法律に定められた条件を満たしていない場合は、許可取り消し措置を取るなどして報道機関の数を減らしていく必要がある。

トール川岸沿いに許可された土地

トール川南部にある土地は自然環境・観光省の陰謀のせいで都市でも、何でもない場所となった

過去2年間でトール川の汚染と川岸沿いに許可された土地問題に関する6000通の苦情が国会請願常任委員会に届いている。これを受け同委員会は川岸沿いで砂利や砂の採掘をしている数社の特別許可を取り消した。これに続き、観光事業運営の特別許可を取得したのみで住宅建設事業を行っている企業への責任追及問題も浮上してきている。自然環境・観光大臣令でバヤンズルフ橋からマーシャル橋までの54ヘクタールの土地所有者が個人・企業合わせて54人だった。そのうち48人の所有特別許可を取り消した。

これは長年の賄賂の歴史である。このままだとウランバートルは飲料水不足に陥る。J.エンフバヤル国会議員はトール川岸沿いの土地問題に関して「代々の自然環境・観光大臣らが法律を無視して所有許可を出してきた土地」と述べた。これはモンゴルのガバナンスや政府が、解決できない大きな問題を抱えてしまったことを現している。

トール川はウランバートルの命の川である。私たちはトール川に関する問題を長年話してきた。しかし、一握りの人たちに土地を奪われたまま、座して死を待つだけの国民私たちが悪いのだ。民主主義国の国民でありながら、公共の利益を守るために外にもでない、デモもしないのだから他にどうすればいいのか。

まずは土地所有特別許可を与えた権力者の中で個人的な利害関係があり、賄賂を受け取った者に対して損害賠償請求をすべきだ。受けた被害を償わせるべきだ。次にトール川岸沿いとボグド山周辺の全ての住宅や固定資産を把握し、納税状況を確認すべきだ。また、固定資産税を徴収する必要があると思う。

モンゴルでは法律が不足しているのではなく、法律を遵守していないことに問題がある。法律を遵守しない理由は、法律を施行する人たちが賄賂に吸い込まれているからだ。腐敗に染まった一部の人のせいで、国民は民主主義という貴重なものを疑っている。

公務員の規律と責任

公務員は政府のためではなく、国民に奉仕すべきということを忘れている。

政府は公務員の規律と責任についての法案を策定し、この春季国会に提出し協議する予定である。政府は2018年を「規律と責任を向上させる年」にすると公表した。

規律と責任というのは今年に限らず、毎年向上させていかなければならない。なぜ公務員の規律と責任に関する法というものを公務員法と別に作る必要があるのか。具体的に見ていくと20年前に可決成立した公務員法は昨年改正された。それが今年の1月1日から施行されている。

公務員の規律を規定しなければならない状況に陥っている。各政府機関は互いに職務上要求できない、何をするかがわからない状況にある。他国では、規律と責任の向上の背景には倫理的な問題が存在する。だからこの公務員の規律と責任についての法案は、公務員の倫理規定を定めようという試みだとみえる。

モンゴルの公務員は政府特別部、行政官庁部、政府政治部という3つの部に分かれる。内閣官房長官G.ザンダンシャタルは、どのレベルの公務においても倫理というものがないから仕事が進まないと言っていた。大規模プロジェクトを凍結し、国が発展しない理由は規律と責任がないことにある。ある段階で決定したことも、次の段階で止まってしまう。

公務員がその権限範囲や法律に反した時の処罰などを明確に定義しなければならない。なぜならモンゴルでは「曖昧」で、形だけの法律がたくさん採択されているからだ。例えば、この間のD.ガントルガ議員の問題は、もし日本だった彼は自ら辞任し、倫理責任を追及される。

経済協力開発機構(OECD)加盟国及び日本ではこのような法律がある。日本は1999年に法律第129号「国家公務員倫理法」が制定された。例えば、日本では公務員は贈与を受け取れない。もし贈与物を置いて行かれた場合は、その人に必ず郵便で返す。カナダでは公務員試験の他にその人の性格が職務によって変わるかどうかを特別なテストでみる。モンゴルの場合はそのようなテストがあってもなくても見れば分かる。どの国でも国家公務員という職は尊敬を受けるものである。私は数年前に在モンゴルアメリカ大使とウランバートルの中心地で会ったことがある。大使は小型の赤色の乗用車に乗っていた。私は大使に「大使館の公用車はどうしましたか?」と聞いたら、彼は「日曜日の私用に公用車は使わない。」と言っていた。モンゴルでは政府の仕事は国の仕事ということを理解しなければならない。新法に公務員による縁故採用を禁じ、もし縁故採用を行った場合は解雇するという条項を入れなければならないと思う。

政府令で鷹を売ったのか

自然環境・観光省が自然を保護するのではなく、自然環境・観光省から自然を保護しなければならなくなった。

国会自然環境常任委員会の会議でJ.エンフバヤル議員が自然環境・観光大臣に対して政府は密令により750匹の鷹を売却したと言った。2013年当時、N.アルタンフヤグ元首相が政府令で鷹の売却を禁止した。この政府令は今でも有効である。iToim.mnサイトでは総額250億トゥグルグで鷹が売却されたという情報がある。N.ツェレンバト自然環境・観光大臣は「この件を与り知らない。J.エンフバヤル議員が知っている」と説明した。

私はJ.エンフバヤル議員が嘘を言ったとは思わない。彼は約700匹の鷹が売られたと言った。D.オユンホロル自然環境・観光前大臣は「代々の大臣が年間250~300匹の鷹の輸出許可を出し、今も続いている。なぜ鷹の輸出が秘匿とされ、諜報庁の監査を受けたかというとアラブ首長国連邦とのハイレベル国家訪問の際、アラブ側から秘密にするように要求された」と述べた。

モンゴルの法律に勝る人たちが海外にいるということ。諜報庁長官は国民の安全を保護するはずなのに、どうして政府と組み鷹を売り、その代金を隠すのか?民主主義国では国民の安全保障に関連する密令が存在するが、国民の財産、自然保護に関する密令はあってはならない。

全ての人類が夢見てきた自由を持ちながら、一握りの詐欺師によって失われるわけにはいかない。次の選挙で私たち国民は声を上げなければならない。さもなければ、飲料水・土地・鷹もなくなり、一部の人たちだけが裕福になり他は貧困や失業に溺れてしまう。

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia

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