コロナ後の 世界と モンゴル

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POST-COVID WORLD AND MONGOLIA

グローバル化、サイバー革命、地政学、この3つは今世紀、人類の生活に大きな影響を与えてきたものである。だが新型コロナウイルスは、この影響力の大きな3つの力のあり方を急激に変化させている。2020年、このコロナ禍において「グローバル化は縮小し、サイバー革命は発展し、地政学的競争は米中によって激化している」とエコノミスト誌は評価した。

これら3つの力がモンゴルにどのように影響し、私たちは何に注目すべきかを、年が明けてもなお厳しい外出制限が続く中で、多くの人々が関心を持って考えている。

このコロナ禍によって、モンゴルと同様に多くの国で経済が弱体化し、失業者や貧困が増加し、不平等がより一層拡大している。この新しい年を迎え、人々はコロナ禍の前と後という2つの異なる時代を経験することとなった。

グローバル化の停滞

グローバル化とは、商品やサービス、テクノロジー、投資、人、情報、流通が国境を超えて取引される結果として、経済、文化、人口の相互依存関係が世界規模で高まっていることを言う。ランド研究所(RAND Corporation、R.S.Cohen)は、既に高い次元にまで拡大したこの相互依存関係は、新型コロナウイルスによって縮小することはないと見ている。

確かにグローバル化は、その拡大するスピードが落ちることはあっても、この1、2年で縮小することはないだろう。なぜならば、各国は天然資源、労働力、テクノロジー、機械など何千ものモノを相互に取引する必要性が依然としてあるからだ。また、友人や家族が外国で働き生活している。さらに人々の外国を旅することへの関心は無くならない。

広く一般にワクチン接種が普及すれば、ウィルスの感染拡大を食い止めることができるだろう。そして各国の国境管理における検査、手続きが急増するだろう。

だが2021年、観光業や小売業など、多くの企業が倒産する。そのため全ての企業は可能な限りリモートワークに切り替え、多くの人が在宅勤務をするようになる。公共交通機関の混雑が減ることによって大気汚染が減少する。大都市への一極集中が鈍化し、固定資産、特にオフィススペースや住宅価格が下落する。だが貧困は拡大する。これらの現象はモンゴル全土で、また首都でより明確に現れるだろう。

電子化への移行が加速

電子化への移行がより一層加速する。すべての社会的、政治的、経済的関係は、一分一秒を競い合うようにオンラインへと切り替わっている。製造、サービス、マーケティングなど、新しいビジネスモデルが定着しはじめている。こういった新技術は中小企業に幅広いチャンスを与え、決済や配達は完全に電子化する。

電子マネーは、すぐに紙幣に取って代わる。電子経済が主流となる時代が到来している。電子化が社会に浸透していくにつれて、若者はより多くの機会を得る。若者は公共のガバナンス、教育、保健、環境、ビジネス、芸術、文化により密接に関わるようになる。

モンゴルでは電子政府が加速的に導入されている。ウランバートルではQRコードが1週間で導入された。2020年にはE-Mongoliaアプリケーションが公開され、人々が少なくとも5年に1度は利用する592の日常的行政サービスのうち、180が提供されるようになった。残りの行政サービスも2021年に電子化され、利用できるようになる。人工知能(AI)を活用し、2022年からパスポートの更新など、人々が必要とする行政サービスを事前に通知するようになる。また、音声認識アプリのChimegeは、既に障害を持つ人々を支援している。

しかし、電子化に伴い政府の構造的な規制、情報の統合、各省庁のすべてのプログラムを相互に理解できるようにすること、そして最も重要なことは、情報の機密性を確保するなどの対策を取ることが急務となっている。

特別許可の電子交付においては、すべての関連機関は情報を封印するのではなく、協力して開発する必要がある。不動産の情報や郵便アドレスは、明確に統一される必要がある。

医療分野でも、すべての病院の情報は人間中心に考えられるべきであり、どの病院の、どの医師でも患者の既往歴や診断、検査結果を取得できるようにすれば、時間を節約でき、多くの人命が救われる。その際、個人情報は、その人の所有物であるため、所有者の許可を得た場合のみ使用され、また、自分の個人情報を誰が、どこで使用しているのかを把握できるように個人情報を保護しなければならない。エストニアではこれが実現している。

地政学的競争の激化

現実の世界が、米国と中国という2つの主要な領域に分かれていることがますます明らかになっている。米国の新大統領は、対中貿易戦争を終わらせないだろう。同盟国と協力し、中国のテクノロジー企業と競争し、ウイグル人の人権を保護すると言った。

世界のデジタル分野も2つに分かれ始めた。100年前に世界の一般家庭で消費される電気を220ボルトと110ボルトで区別したように、今日では米国と中国の5Gテクノロジーという異なるインフラストラクチャーが形成されている。

中国のHuawei社の技術は、アジア、ヨーロッパ、アフリカを支配するようになった。ヨーロッパ、インド、北米の政府は、これらの戦略的分野を見直し、再定義し、すべての輸入品、特に医療機器の中国からの輸入依存を減らすための構造変更に踏み切る意向を示している。

主要な経済国のうち、2020年は中国だけの経済が成長し、その成長率は2021年には7%に達する。この成長は、米国、ヨーロッパ、その他多くの国が抱える財政赤字はなく無借金でできている。

ロシアは領土面積において世界最大であるが、経済規模は世界11位で、これはイタリアに次ぐ順位で、韓国の前に位置している。高度な軍事力を誇っているが、経済の主要分野は石油、天然ガスなどの資源である。中国は他の大国と争い、中国への輸出を止めれば止めるほど、中国は天然資源の輸入をロシアから調達する傾向が見られるようになった。

近い将来、ロシアは天然ガス、石油、石炭、銅などで中国への最大のサプライヤーになるだろう。つまりロシアは、モンゴルの重要な収入源である石炭、銅の輸出において最大の競争相手国となる。ロシアの銅埋蔵量(6,100万トン)は世界第4位で、石炭埋蔵量(1,600億トン)は世界第2位である。

このように世界は地政学的に両極に分断され、G7にはまもなくオーストラリア、韓国、インドが加わり、D10として独裁国家に対抗し、民主的同盟国の新しい連合の発足が話されている。このような状況にモンゴルはどのように適応して行くべきなのか、どのように対応すればよいのか。経済の多様化を賢明に模索し、どの製品、サービスを世界に輸出していくのかなどを見つめ直さなければならない。そして緻密な調査や計算に基づいた政策を練らなければならない。

2021年1月6日

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia

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