民主主義の 価値

Jargal Defacto
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THE VALUE OF DEMOCRACY

民主主義の体制の下では、政治的な決定は国民の過半数の投票によって出される。しかし、そのような決定すべてが民主的であるとは言えない。そのため、過半数の投票は、個人および少数派の権利を保障していなければならない。つまり民主主義に基づいていなければならない。そのため、民主主義に基づいた決定を実施することは、政府の最低限の義務である。

ここで、対等に使われることの多い“民主主義”と“自由”の違いを見ることができる。民主主義とは、組織化であり、最終的に自由を保障する行為や原則の集合である。民主主義は、少なくとも過半数議決の原則、全国民に認められた政府、自由と公正な選挙、少数派の権利の保障、基本的人権の尊重などの性質を包含していなければならない。

では、モンゴルはどれほど民主的であるのか?その指標として、世界規模で国家の自由度を測定し、順位付けするNGOフリーダム・ハウスの報告書が比較的有名である。ここでは、民主主義を測定し、順位付けするイギリスのエコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2020年に発表した調査報告書を取り上げて見ていこう。

民主主義の顔

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、世界各国の民主主義を指数化した報告書を14年間継続して発表している。この指数は、各国の民主主義の度合いを0〜10点満点で評価している。8〜10点は完全な民主主義(Full democracy)、6〜7.9点は欠陥のある民主主義(Flawed democracy)、4〜5.9点はハイブリッド政治体制(Hybrid regime)、4点未満であれば独裁政治体制(Authoritarian regime)と4つのレベルに分類している。

2020年の時点では、世界167ヶ国のうち、世界人口の8.4%が居住している23ヶ国については「完全な民主主義」となり、世界人口の41%を占める52ヶ国は「欠陥のある民主主義」、世界人口の15%を占める35ヶ国は「ハイブリッド政治体制」、世界人口の35.6%を占める57ヶ国は「独裁政治体制」となった。世界人口の3分1以上を占める国が独裁政治体制国家であり、その最たる国がモンゴルに隣接する中国・ロシアとなっている。2020年にはアメリカの点数が下がった。アジアでは、日本、韓国、台湾は完全な民主主義と順位を上げた。フランスとポルトガルは、欠陥のある民主主義へと順位を下げた。香港、エルサルバドル共和国は、ハイブリッド政治体制の分類へと後退した。

モンゴルは、この報告書で6.48点と、167ヶ国中61位、地域諸国の中で10位に位置し、欠陥のある民主主義(Flawed)に分類された。長らくこのレベルで止まったままである。この欠陥のある民主主義というものは、自由と公正な選挙、国民の基本的人権が保障されてはいても、報道の自由が侵害され、国民の政治参加が弱く、政治文化が成熟していない国を指している。

モンゴルは、2014〜2016年にはこの民主主義指数で最高点となる6.62点を獲得していた。特に選挙プロセスと多元論(electoral process and pluralism)および市民の自由(civil liberties)などの指標において最高点を獲得していた。2020年に選挙プロセスと多元論では0.42点へ、市民の自由では1.48点へとそれぞれ点数が落ちた。しかし、政治参加、政治文化などの指標では、それぞれ0.56点、0.63点と点数が上がった。

過去15年間でモンゴルの民主主義は、6.60点から下がり、6.48点になった。このレベルに分類され、長くとどまっていることは注目すべき点だ。

結論

選挙プロセスと多元論、政府の機能(functioning)、政治参加、政治文化、市民の自由という5つのカテゴリーが組み合わされて1つの包括的指数となる。だが、どのカテゴリーでも自由と公正な選挙および政治の自由に関連する指標を満たさなければ意味がない。

2020年に行われた国政選挙の選挙運動時に、多くの人が政治的理由で逮捕された。時期的にみると、これが選挙に影響する行為となった。モンゴルでは報道機関の数が多く、SNSの利用が急速に拡大している。しかし、それら報道機関のほとんどを政治家、政府高官、政府高官経験者が所有している。このような状況の中で報道の自由、多元論について話しても不十分である。現実にモンゴル人には異なる意見を受け入れ、互いに理解する文化が根付いていない。

司法権力、政治権力、そして報道機関は、莫大な資産を持っている者や、銀行や大企業のオーナー達の手に集中している。そのため、この国には腐敗が蔓延し、大きな汚職事件は解決されないままである。この現状を打破するために市民の政治参加が急上昇しなければ、モンゴルの民主主義指数は今よりも上昇する可能性はない。

2021219

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia

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