新たな路線、旧い困難

Jargal Defacto
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NEW SOLUTION, OLD HARDSHIPS

モンゴル政府は、今年中に鉄道分野の改革に乗り出し、ズーンバヤンからハンギまでの区間、総延長227kmの鉄道を建設する予定である。ここで、この鉄道はいつどのように建設されるのか、プロジェクトの意義とは何か、そしてどのような課題があるかについて述べてみたい。

鉄道を延伸する必要性

モンゴルは、対外貿易額の95%を占めている中国とたった1つの鉄道国境駅で接続している。そして、対外貿易の僅か数パーセントを占めているロシアとは、2つの鉄道国境駅で繋がっているが、その1つ(エレーンツァブ)は現在、運用されていない。中国と接しているザミンウード/エレンホトの唯一の国境駅は、貨物量の増加に対応できない状況となり10年が経つ。特に過去2年間での状況を見ると、新型コロナウィルスによるパンデミックや夏季オリンピック、冬季オリンピックの開催などのため、中国政府は国境封鎖を行い、貨物は数ヶ月も立ち往生している。

モンゴル政府は、南の中国との国境で新しい鉄道ターミナルの建設について長年話してきたが、実現には至っていない。今回、L.オユン-エルデネ政権は、コンセッション法に基づき、「ズーンバヤン〜ハンギ間の鉄道プロジェクト」の直接契約を締結することを決定した。

昨日(2022年3月9日)、内閣会議により、このプロジェクトのコンセッション契約について、“モンゴルトランスライン合同会社”および“モンゴルトランスロジスティクス合同会社”と締結する権限が政府調達庁に与えられた。

ズーンバヤン〜ハンギ間鉄道のメリット

このプロジェクトの実行可能性調査では、ズーンバヤン〜ハンギ/マンダル鉄道の開通によって、ザミンウード国境駅の負荷が減少するほか、新しい路線を通じて中国に年間1,500万トン、ロシアに年間500万トンの貨物輸送が可能となる。これによりモンゴルの石炭輸出量は50%増加すると試算されている。タバン・トルゴイ〜ガショーンスハイト間の路線で2,500〜3,000万トン、ナリーンスハイト路線で1,500万トン、合計年間6,000万トンの石炭が鉄道で輸送されることが可能になる。

サインシャンドから中国内モンゴル自治区の包頭市までの貨物輸送の距離は306km短縮され、輸送費は4分の1に削減される。中国内モンゴル自治区の包頭市とオルドス市には、冶金、鉄道車両、建設および消費財、鉱山で使われる重機関連などの多くの工場がある。これらの工場に必要なコーキングコール、鉄鉱石、蛍石を競争価格で提供する。さらに、中国の内陸部からモンゴルに輸出されるすべての製品は、より迅速に輸送されるようになる。

この鉄道の建設により、過剰放牧、粉じん、騒音、土壌および大気汚染が減少し、交通事故や交通違反が無くなり、さらに1,600人の雇用が新たに創出される。タバン・トルゴイの各鉱山の採掘量や輸出量を2〜3倍に増やすことが可能になるほか、ウランバートル鉄道のトランジット輸送を2倍に引き上げ、1,000万トンに達する条件が整備されるという。

新たなる試練

約70年前に設立されたモンゴルとロシアの合弁会社であるウランバートル鉄道会社は、歴史的に見て運輸分野の発展に大きく貢献をしてきた。しかし、今日では、時代と発展の要求に大きく遅れを取っており、発展の機関車ではなく、発展の重荷となっている。それでもモンゴルの運輸分野には他に選択肢がないため、ウランバートル鉄道は国の貨物輸送売上高全体の80%を占めている。運営は常に赤字のため、追加投資ができず、路線は電化されておらず、ディーゼル燃料で運行する古い機関車を使用している。また、旅客列車は老朽化しており、路線も1つしかなく、停車する駅の数は多くある。そのため、中国の高速鉄道インフラに比べて非常に遅れている。主な理由は、政府が価格を過剰に規制していることや、同社の社長が2〜3年で交代するなど、様々な課題がある。

現在まで建設が完了した路線および建設予定の路線の全長は、ウランバートル鉄道に匹敵する約1,000kmになる。新しい鉄道は、100%モンゴル国有のものであり、運用コストや輸送価格が完全に異なる。そのため、所有者が異なる2つの鉄道が接続され、互いに連携しなければならないという新しい課題が生じる。例えば、どこでどのように接続するか、そして相互に価格をどのように設定するかなどだ。

過去から連綿と続いてきた困難が数多くあるが、モンゴルの鉄道網が拡大し、長くなるにつれ、運輸分野はより迅速に発展することを期待している。

2022年3月10日■

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia

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