MORTGAGE, INFLATION, AND YOU
住宅ローンは、国民の生活水準において重要な役割がある。そのため、一部の開発途上国では、政府が補助金付きの融資を実施し、補助された金額を国の予算に反映させている。先進国では、住宅ローンは自由市場原則に基づいて行われ、専門の投資家がその事業を営んでいる。そこでは政府の関与が少ないため、どれほど質の高い不動産が建設されているかを国民は知ることができる。
モンゴルでは、住宅ローンは中央銀行のイニシアチブによって始められ、後に政府に移管されるとした。しかし、移管されることはなく、中央銀行は今日でも住宅ローンを手掛け、その補助金額は中央銀行のバランスシートに残っているため、インフレが進み、トゥグルグ安に拍車がかかっていることを人々は目の当たりにしてきた。
政府は、現状で住宅ローンを政府の予算に組み込むと財政赤字がさらに拡大するため、これを歴代政権が延期し続け、既に長い年月が経っている。もし政府が住宅ローンを引き受けた場合、政府は他の歳出を減らす必要に迫られる。
政府は、パンデミックの緊急事態に対応すべく関連法を制定し、住宅ローンの返済延長を認めてきた。このことがまた、商業銀行の企業融資を減少させている。本来なら新型コロナのパンデミックが収束しているため、この関連法の効力は年末には無効になるはずだが、住宅ローンの返済の延期を来年の上半期まで続けようと国会議員は話し始めている。
中央銀行は、商業銀行に利息0%で資金を供給し、商業銀行は国民に対して利息6%の融資を交付してきた。年平均して6,000〜8,000億トゥグルグの住宅ローンが交付されている。この金額はGDPの2%に相当する。
しかし、この多額の住宅ローンに付く金利は、モンゴル銀行の金融政策の外に置かれているため、インフレを制御できることは不可能となっている。今日、政策金利は12%になっているが、このローンの金利はわずか6%である。今年、インフレ率は13%になる。このような状況で利息6%のローンは誰にとっても魅力的なため、需要が急上昇している。
補助金付きの住宅ローンは、建築業界の支援にはなるが、その住宅建設資材の半分は輸入商品となるので、これが更にトゥグルグ安に影響を与えている。また、パンデミック後の輸入商品の増加、サービスの消費が増加し、国民も海外に行くようになったことも重なり、トゥグルグは急下落し、1ドルは3,400トゥグルグになった。通貨トゥグルグの価値はこの1年で18%下落したということになる。
このような状況の中で、中国との国境封鎖が解除され通常輸送が再開されるまで、また政府が2023年の国債の償還を履行するまで、住宅ローンを一時的に停止するか、住宅ローンを政府予算に移管させ他の歳出や投資を制限しなければ、インフレ率のより一層の上昇と為替レートの下落が私たちを待ち受けている。
当選するためなら何でも公約にする政治家は、実のところこの事態を認識しているが、2024年の選挙を控え、住宅ローンを停止するどころか返済期日を延期させることを話している。
モンゴル銀行は国の予算として運用されるべきではない。モンゴル銀行の総裁は、国会によって任命されるため、政治家の圧力の下で金融政策を全面的に管理できていない。これは岩間に挟まれた動物である。
この政策のつけを最も低い所得世帯がより多く支払わされている。補助金付きというあらゆる融資、実際には融資の補助金分の差額を全国民がインフレや為替レートを通して支払っている。このようにしてモンゴル国民全員が被害を受けていると理解しているのだろうか。
2022年11月9日