スマートな世界からインテリジェントな世界へ

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〜MWC バルセロナ2023からの報告〜

2023年2月末、世界のモバイル業界最大級の展示会「MWC バルセロナ2023」に参加するためにスペインのバルセロナの空港に降り立った。空港で私たちを出迎えた男性にスペインのSIMカードを渡されたが、私の携帯にそのカードを挿入する箇所がなかった。そこでモビコムでeSIMにしたことを思い出した。今の新しい携帯にはプラスチック製のSIMカードを差し込む必要がなくなっている。

このMWCバルセロナ2023は、ロンドンに本部を置き、世界のモバイル通信事業者800社、関連産業に従事する400社が加盟しているGSMA「Global System for Mobile Communications Association」が1987年から主催してきた国際カンファレンスである。バルセロナでは2006年から開催されている。また、ラスベガス、上海などの大都市でも毎年開催されており、モバイル通信業界のあらゆるプレイヤーが集う世界最大級の有名なイベントである。

今年のMWCバルセロナ2023には、モンゴルのモバイル通信事業者となるモビコム(Mobicom)、G-モバイル(G-Mobile)、ユニテル(Unitel)、スカイテル(Skytel)、オンド−(Ondoo)や固定電話ネットワークのモンゴル電子通信社、情報通信ネットワーク国有企業、IPTVなどの企業が参加した。また、フィンテック業界の企業および政府代表者も参加した。

産業革命

産業革命は、人類の発展に飛躍的な進歩をもたらす。第一次産業革命は、1760年代に始まり、人間の仕事を機械が取って代わった。第二次産業革命では、1870年代から世界に電力システムが普及した。第三次産業革命では、1970年代から始まった情報革命、人類にはコンピューターが登場した。

今日、私たちは2000年代から始まった第四次産業革命となるインターネット時代を生きている。経済は電子化し、スマートになる。接続技術がより進化し、通話の質がより改善し、写真や短いビデオ撮影、e-メール送信、音楽ダウンロード、インターネットでビデオを視聴するなどエンタテインメントの使用が携帯電話で利用可能となり、スマートフォンの時代(3G)が始まっている。データ通信速度は急増し、7.2Mbps(メガビット/秒)より速くなった。

1980年代に始まった移動通信システムの初代(1G)では、アナログ技術のレンガのような大きな携帯電話があった。1991年に始まった第2世代(2G)の携帯電話は、通話のほか、テキストメッセージを送信できるようになった。

2001年から第4世代(4G)の通信が導入され、データを送信する速度が向上し、53.3Mbpsに達し、映画視聴や様々なアプリケーションを利用できるスマートフォンが私たちの生活において欠かせないものとなった。銀行や金融サービス、電子取引を携帯電話でいつでもできるようになった。また、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれるこのネットワークは今日、世界中で最も広く利用されている。

2018年から先進国では5Gが導入され、データのダウンロード速度は20Gbpsに達し、1000倍単位で増えた。例えば、2時間の映画をダウンロードするのに4Gの場合は50分がかかるが、5Gの場合は1分となっている。2022年末、世界中で10億人のユーザーが5Gネットワークを利用するようになったとGSMAが報告した。

そして、2030年にはデータのダウンロード速度がTerraとなり、6G世代が始まるという。その時、第5次産業革命が始まり、経済は聡明(インテリジェント)になり、あらゆるものが互いに接続するほか、人間の神経系と繋がると言われている。

このように産業革命間の期間が、それまでの100年や50年というスパンではなく、10年となった主な要因は、接続性(connectivity)である。つまり人類が高い頻度でギガバイトのデータを瞬時に配信し、通信し、ダウンロードできる技術を獲得してきたことと関係している。

電気伝導体はランプとなり、そして半導体(Semiconductors)、最終的にマイクロチップという爪のような小さな四角形に何百万もの「ランプ」が載ったものに進化した。このマイクロチップの容量が劇的に増加したため、このように高速な接続が可能となった。

課題

5Gは、超高速大容量、多数同時接続、超低遅延でデータを送信できる最先端の技術である。この5Gネットワークの導入により、スマートフォンはより発展するほか、IoT(Internet of Things)つまり「もののインターネット」という技術が導入され、あらゆるものがインターネットに接続され、携帯電話で操作できる日常が私たちの生活に深く浸透する。オンライン接続が完璧になり、別の国にいても音声や映像が実際に一緒にいるような仮想現実が生まれる。世界のどこからでも数十人が同時に同じコンサートを鑑賞し、一緒にカラオケで歌うようになる。

また、医療や教育サービスも同時にどこからでも受けることが可能となる。例えば、一人の教員が授業を全国すべての学校に同時配信することで教員不足の問題が解消される。また、都市計画、公共交通機関の組織化、インフラ建設、災害防止などにおいて大きな進歩をもたらす。ビジネスモデルは大きく変化し、消費者それぞれの特徴やニーズに応じるようになる。

5G技術は、比較的に高価である。5Gは、超高周波数の電波であるため直進性が強く、障害物があっても電波が届く範囲は4Gに比べて10分の1であり、2G、3G、4Gネットワークと同じように地域全体をカバーするには、より多くのアンテナを設置する必要がある。

技術面で見れば、5Gは世界中で3.5〜4.6GHz、または27〜30GHzなどの超高周波数を使用する基準が定着している。4G/LTE技術は、例えば、モンゴルでは1.8GHzの周波数が主要となっており、電波の重複を避けるために上下200MHzまでの広い帯域を割り当てている。

無線周波数は、その国の無線接続における限られたリソースであるため、携帯電話会社と少数のサービスプロバイダーにライセンス交付という形で許可を出している。データ通信速度は帯域幅による。無線低周波数は電波の到達範囲が広く、あらゆる物体を回り込む能力に優れている。しかし、高周波数はその逆相関である。

5G技術のもう1つのメリットは、データ送信の低遅延である。つまり、データが送信元から送信先に届くまでにかかる遅延時間が非常に短い。4Gの遅延時間は10ミリ秒(ミリ秒は1秒の1000分の1)だが、5Gでは、1ミリ秒に減らすことができる。遠隔手術では10ミリ秒以下が必要とされている。

モンゴルの5G

モンゴルでは、5G技術の導入が他の国より遅れ、2023年末、または2024年初頭に導入される見込みである。遅れている主な要因は、モンゴルの市場規模が小さいわりに、4〜5つの通信会社がある。そのため、新しい技術を導入するためのそれぞれの費用が大国と比べて非常に割高になる。

一方で、現時点では5Gの需要が広がっておらず、主にニュースや情報の高速ダウンロードが中心となっている。5G技術が導入されれば、それに基づいた新しいイノベーションが起こり、革新的な製品やサービスが消費市場に導入されるだろう。

モンゴル情報通信技術庁は、2020年4月にモンゴルにおける5G技術の導入政策方針を採択した。5G技術の対象範囲を広げるためには莫大な資金が必要となるため、モンゴルの市場条件に応じて、優先的かつ特定の分野または中部地域の重要な場所に導入を始めるとある。情報通信規制委員会は、年内に通信事業者への無線周波数を割り当てるように取り組んでいるという。

5Gネットワークに接続可能なスマートフォンおよびその他の機械の市場価格は、4Gを利用している機器より比較的に高く、およそ200ドル高くなる。

インフラ設備において、通信事業者はファーウェイ、エリクソン、ノキア、ZTEなどから調達する。5Gネットワーク導入の初期段階では、インフラ設備の価格は非常に高価だったが、世界中で広く普及することによってイニシャルコスト、ランニングコストの両方が年々減少している。その結果、投資費用が小さくなり、消費者への提供価格が下がってきている。

スペースインターネット

モンゴル政府は、非常事態が発生した場合、全国民に対して緊急事態情報を同時に発信することができるか?現時点では不可能である。地方の家庭には、長波ラジオがない。携帯電話の電波が届かない。光ファイバーケーブルが寸断したらどうするのか?

今日、高度36,000kmの地球軌道上にある人工衛星から、iSatやOrbit netなどの企業は、衛星放送受信アンテナを通じてインターネット、電話、テレビサービスを提供しているが、すべての人がアクセスできているわけではない。

1年前、南太平洋の島国トンガで火山が噴火し、フィジーと繋がっていた唯一のケーブルが津波で切断された。そのとき、イーロン・マスクのスターリンク社は、緊急接続(emergency back up)を迅速に確立した。スターリンク社は、ウクライナでもインターネット接続を復旧させた。スターリンクのほかに、イギリスのワンウェブ社が同様のサービスを提供している。

モンゴルのデジタル通信開発大臣N.ウチラルが率いるチームは、宇宙接続を世界のどこからでも、いつでも届けているこの2社それぞれとMWCで会談した。2社ともモンゴルに進出可能である。しかし、私たちは彼らに対して、モンゴルの法律に則って事業を展開する条件を提供し、選択肢を消費者に残す必要がある。

スターリンク社のライアン・グッドナイト氏は「私は1年前にモンゴルを訪問した。明日にでも行く準備ができている。スターリングはモンゴルでの事業許可がおり次第すぐに始める準備ができている。モンゴルの企業を経由する必要はない。スターリンクの3,000もの小型衛星は、高度500kmで地球を周回している。2027年には、42,000の衛星を打ち上げる予定だ。モンゴルに近い地上ステーションは日本にある。世界中で月額料金99ドルで提供している」と語る。

そして、イギリスのワンウェブ社のニール・マスターソン氏は「当社の衛星は重量150kgであり、現在642の衛星が高度1,200kmにある。地上ステーションは500人を接続することができる。データベースはモンゴルに置かれる。これは鉱山会社に非常にマッチしていると思う。モンゴルの企業と提携を結ぶ予定である」と述べた。※会談についてここから御覧ください。

もうすぐ、モンゴル人が5G技術の利点と驚くべきソリューションから十分に恩恵を受け、低軌道衛星を通じて誰とでも、どこでも接続できるようになる時が来る。

2023年3月31日■

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